日時 | 2024年5月31日(金)14:30~16:30 |
講演 | 「不動産テックで変わる日本の不動産取引市場」 |
講師 | 巻口成憲氏(リーウェイズ株式会社 代表取締役社長) |
会場 | スタジオ751 + Zoom |
参加 | 27名 |
趣旨
今回は日頃話題に上がる産業としてなじみの薄い不動産について、リーウェイズ株式会社の巻口さんからお話を頂きました。豊富な資料と流れるような説明で目を見開かれる思いで伺いました。旧来型の不動産事業に、米国などで進むDXを取り入れ革新が進む産業に目を付け、ベンチャーを興し日本に新たな視点で不動産の価値を見直し、不動産屋から不動産マンの意識変革の取り組みをされています。
また巻口さん自身は新聞配達から始まり、不動産の営業などから一念発起し、デロイト社のコンサルから今日のベンチャーまで進んできた道にも平凡ではない生き方が見られました。業界全体を成長させる姿勢は不動産だけでなく、日本全体の生きる道を見せていただいた気がします。
講演資料
今回の講演資料は大容量のため、一部を抜粋してPDFを添付します。
さらに詳しい参考資料はクラウドからダウンロードできますので、浅野会員にご照会ください。
質疑応答
Q | 産業単位で大きな改革をするときには、行政との関係が問題になるがどのような連携をしてきたのか? |
A | 日本は1985年に国交省がレインズ(指定流通機構)を発足し、1999年にはインターネットで使えるようになった 不動産取引価格情報提供制度など中古流通を促進するための取り組みがなされてきたものの、情報の登録不備が多く使いにくかった 直近の問題では、地番を元にした不動産I Dを採用したが、住所がないと特定できないなどの問題もあった また日本には個人情報の観点から取引価格データが公開できないことも課題 今後、民間組織と組んで住所や価格データなどを取り込む方向性で調整が進んでいる 行政の縦割りは問題で、国土交通省だけでは難しい課題なども、内閣府デジタル庁ができ少しずつ動き始めた |
Q | 公示地価が正しいのかについて疑問があるが |
A | 実態としては専門家の忖度などの私見が入ることもあり、必ずしも100%正しい情報とは言い切れない、税収を考慮して評価額を据え置いているケースがあることは事実 |
Q | 固定資産税の評価額が下がると税収減などの問題もあるのではないか |
A | 現場担当者は問題意識を持っているものの、抜本的な解決策はないのが現状 |
Q | 不動産の評価額を左右する減価償却は税務上のルールで期間が決まっている 米国ではどうなっているのか |
A | 米国では経済的な評価で不動産を評価している また、計算の根拠は各銀行が独自の指標で計算しているものの2000年頃から人工知能による査定が採用されている
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Q | 米国も中身が不透明ということか 計算式は明示されていないのか? |
A | 米国は取引価格が公示されているので評価は担保される一方、日本は取引価格が公示できないため実態が判らない |
Q | 人口減少の日本において、今後、空き家の問題は解消できるのか |
A | 空き家の半分以上は実は賃貸マンションや賃貸アパートであり、投資物件である以上、市場原理で淘汰される 戸建空き家の問題点は所有者が特定できない点にあり、防災や治安、地域環境保持の観点を考慮した行政での対応が勧められている |
Q | 所有者の消息が判らない不動産などは増えているのか |
A | 現状、過剰供給である不動産は今後流通する不動産と流通しない不動産に二極化していく 防災や治安上問題にならない不動産は必然的に淘汰されていくので実は問題ではない |
Q | 不動産の評価では、天災が関係してくると思うが、災害のリスクをどう見るのか |
A | ハザードマップは公開されているが一般的には定量的な評価でなく、可視化による消費者側のリスク管理が必要 リーウェイズでは不動産のリスクリターンを総合評価できるクラウドサービスを提供している |
Q | 個人情報の制約はあるのか |
A | 国交省の中では無理だ、他の国できても日本ではむりだ |
Q | 評価システムをどこに持っていくのか |
A | サービスを使ってもらえる会社 |
Q | リーウェイズの610社の顧客はどうやって見つけたのか |
A | 今回のような講演の機会を多く持ち、ネットワークを広げることで顧客が増えている |
以 上(浅野応孝)