第2回ワイガヤ健康サロン「難聴」「睡眠」を開催

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2024年5月28日(火)15:00より、健康医療研究会主催による第2回ワイガヤ健康サロン自由放談会)を開催しました。

健康医療研究会はこの6月で設立満8周年を迎えることとなりますが、これまで34回のセミナーを含め様々な活動を展開して参りました。そうした中で昨年11月には「ワイガヤ健康サロン」と称する、これまでの専門家を招聘したセミナーとは異なったスタイルで、会員による自由な形式の意見交換会を実施しました。
今回はその第2回として、予めテーマを高齢者の多くが抱えている問題と思われる「難聴」「睡眠」と設定、予め質問を募った上で、それぞれを専門の事業として展開されている下記金鳳堂フィリップス両社の専門家に解説をお願いした上で、参加者同士での質疑応答、意見交換を行いました。
オンライン(zoom)方式で、事務局を含め24名が参加しました。

<講師>

金鳳堂伊勢丹浦和店店長 大渕 円氏、他
フィリップス・ジャパン(睡眠時無呼吸症候群治療器具(CPAP)メーカー)スリープ&レスピラトリー事業部 杉山正美氏、深沢 正造氏
難聴 コーディネーター:高田弘治さん (1093)

<講師解説のポイント>

  • 日本は補聴器の普及が遅れている
  • こんな症状があれば難聴を疑ってみる
  • 「聞こえ」の仕組み
  • 難聴は認知症の危険因子
  • 補聴器の歴史、仕組み、種類等「よい聞こえ」は生活の質をあげる

<質疑>

  • 左右両方必要か→検査した上で、専門家の意見を聞いてください。
  • 耳鳴りは治るか→なかなか治らない。外の世界では気にならなくなることが多い
  • 難聴の人とのコミュニケーションに於いて→大声を出すのはよくない。丁寧なコミュニケーションが大事
  • 子音がききとりにくい→補聴器で改善できる場合がある
  • めがね一体型はどうか→性能が落ちる

<講師>

睡眠(睡眠時無呼吸症候群-SAS-治療を中心に)コーディネーター:岩佐俊明さん(1323)

<講師解説のポイント>

  • SASの有無のチェックリスト
  • 全身疾患との関連
  • SASとは何か
  • 治療器具CPAPの説明
  • CPAP導入までの流れ

<質疑>

  • 認知症、パーキンソンと関連あり、とのことだが→厚労省から「よい睡眠の概要」との資料が出ている。アンケート依頼時に送付(岩佐)
  • CPAPは一生続ける必要があるか→使わないと症状は悪化する
  • 歯ぎしり対策にマウスピースをしている→歯ぎしり用とSAS用は構造が異なる
  • 用途に応じて使用してほしい(岩佐)
  • 眠れない場合の睡眠導入剤の使用はどうか→CPAPで不眠も改善する場合あり
  • 睡眠時間5時間は問題ないか→4時間以上眠れば問題ない

<総括>

参加者の皆様が極めて率直に種々の意見を出して頂いたことや、またそれに対する意見交換があったことで、種々の健康に係わる情報・経験が共有されたことは極めて有意義であり、今後の皆さんの生き方・考え方に大いに参考になったのではないかと自負しています。

<アンケート結果>

終了後にメールで依頼したアンケートにおけるコメントの一部をご紹介します。

  • 説明が解り易く、専門的で納得できた。
  • 難聴および睡眠時無呼吸症候群に対する認識を深める機会となった。
  • 「左耳、聴力ダウン?」と懸念しておりましたが、難聴に関するオリエンテーションとして、有意義でした。
  • 無呼吸放置の危険を知りました
  • 難聴の症状チェックが参考になった

もっと詳しく知りたいこと

又、アンケートの中で、参加者から寄せられた「もっと詳しく知りたいこと」に関し、「難聴」については、金鳳堂の小澤様「睡眠」に関しては、歯科医師の岩佐俊明さんから以下の通り、回答を頂きましたのでご報告します。

Q:補聴器と集音器の利用上の注意(差異)
A:どちらも音を増幅するデバイスですが定義にそれぞれ違いがあります。
端的に言うと補聴器は医療機器として設計され、個別の聴覚ニーズに合わせて調整されるため、多くの状況に合わせた快適な聴こえの再現と長期的な聴覚支援に最適です。一方の集音器は音を単純に増幅するためのデバイスであり、補聴器ほどの調整機能や音質は提供出来ませんが、一時的な使用や軽度の聴覚支援には役立ちます。

Q:集音器を必要に応じて使い続けるのと補聴器に切り替えるのとはどちらがよいか
A:室内だけの静かな環境で使用する分には集音器でも大きな不便がないという場合もございますが屋外での使用や環境の把握、また複数での会話と聞き取りのレベルや快適性に関しては圧倒的に補聴器側に分があります。講演会では補聴器のあとに睡眠がテーマとしてございましたが、例えば同じ「眠る」という行為でも固いゴツゴツの床で眠るのと、柔らかなふかふかのベッドで眠るのとではどちらが快適かは言わずもがなです。
 
Q:なぜ補聴器は高額なのか
A:講演会では簡単な補聴器の歴史を発表させていただきましたが、どんどんスタイリッシュに小型化され今や補聴器はデジタルICチップを搭載した小さなコンピューターのようなデバイスツールです。このハイテクノロジーを、お耳に収まるサイズに収め込んでいくという精緻な技術に加え測定からカウンセリング、調整といった諸々のコストがカウントされます。しかし、その大きな要因としては、やはり普及率の低さが一番に挙げられます。

Q:めがねが急激に拡大し安価になったようにやがて補聴器も広がりリーズナブルにならないか。
A:例えば現在15%といわれる普及率が例えばせめてアメリカ並みの30%程度に上がれば大きく価格は下がっていくものと考えます。

Q:補聴器の種類や各々の効能について
A:現在の主流モデルは耳穴型と耳掛け型です。電池交換の必要がない充電式のモデルが人気です。スマホと連動させ音楽を聴いたり、電話を受けたり出来るものが多くなっきています。

Q:補聴器の価格と性能はどのような関係か
A:これは補聴器に限らずですが、価格が上がると性能が上がります。「聞こえる」「聞こえない」の一つ上に「聞き取りが出来る」「聞き訳が出来る」のステージと、その快適性に大きな差が出ます。

Q:補聴器を付けることによるマイナス面は?
A:今では補聴器を付けてピーピーと不快音が鳴るハウリングはかなり制御できるようになりました。耳掛けタイプの補聴器はメガネやマスクのかけ外しに気を使う耳穴タイプは長時間入れていると圧迫感を感じる方と場合がある、小さすぎて紛失してしまうといったところでしょうか。

<睡眠について>公益財団法人健康・体力づくり事業財団HPより

Q:質の良い睡眠とは何か
A:質の良い睡眠とはどのような睡眠かを厚生労働省の資料で示されている睡眠の質の評価指標から考えると、下記のようなことになります。

  • 規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがはっきりとしている
  • 必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気や居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる
  • 途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる
  • 朝は気持ちよくすっきりと目覚める
  • 目覚めてからスムーズに行動できる
  • 寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できる
  • 睡眠で熟眠感が得られる
  • 日中、過度の疲労感がなく満足度が得られる

Q:レム睡眠とノンレム睡眠の違いについて
A:入眠してから徐々に睡眠が深くなっていくと次にあらわれるのがレム睡眠です。
この睡眠の特徴は脳波上はノンレム睡眠の段階1に似ていますが、急速な眼球運動が見られ、また頤筋の筋電図が消失しています。このような睡眠期には夢を見ていることが多く、急速眼球運動(Rapid Eye Movement,REM)の頭文字を取ってレム睡眠と呼ばれます。レム睡眠は様々な生理現象も睡眠の深さもノンレム睡眠とは質的に異なっています。このようなレム睡眠とノンレム睡眠は1セットになって一晩の睡眠のなかで交互に繰り返して、朝目覚めるまでに5〜6回現れます。健常成人ではレム—ノンレム睡眠の1セットの長さは大体90分位です。

レム睡眠の特徴

  • 急速眼球運動があらわれること、
  • 脳波が入眠期から軽睡眠期に似たパターンを示すこと、
  • 身体の姿勢を保つ筋肉(抗重力筋、姿勢筋)の緊張がほとんどなくなること
  • 感覚刺激を与えても目覚めにくい。
  • レム睡眠には脈拍、呼吸、血圧など自律神経機能が不規則に変化し、この時期には性器の勃起が起こるため、自律神経系の嵐とも呼ばれる。
  • この時期に眠りについている人を起こすと80%以上の人が夢を見ているなど

レム睡眠はヒトでは全体の睡眠の約20%を占めますが、新生児では50%にも達しており、成長するに従って減少していきます(下図)。このことからレム睡眠の役割として中枢神経系の発達に関連すると考える説もあります。また、昼間に多く学習した日は、夜にレム睡眠が増加することなどから、記憶情報処理などに重要な働きをしていると考えられています。このように脳は働いているが、身体の筋肉がゆるんでいることから、身体の睡眠ともよばれています。

ノンレム睡眠の特徴

  • 入眠期の浅い睡眠段階ではゆっくりと揺れるような眼球運動がみられるが、その後、睡眠が深くなると眼球の動きは停止する。
  • 脳波は活動が低下し、周波数が遅くなる。
  • 身体の筋肉の緊張は保たれ、
  • 脈拍、血圧、呼吸が安定し、
  • この時期に眠っている人をおこすと、目覚めが悪く、夢を見ていることは少ない。

またこの時期には成長ホルモン分泌や蛋白同化が行われ、また、免疫増強作用がある。このようなノンレム睡眠は大脳の睡眠ともよばれます。
レム-ノンレム睡眠は併せて疲労、ストレスが回復する役割を果たしているといえましょう(下表)。

尚、アンケートを含め、上記表現以外の参加者情報、発言内容等は参加者以外には出さないように十分留意致します。
今後も同様の形式による意見交換会を引き続き企画していきたいと考えていますので、会員の皆様の参加をお待ちしております。またテーマ、やり方について、その他ご意見がありましたら、下記事務局あてご連絡を頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

事務局 dfkenkohiryo@directforce.org 

(江村泰一記)

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