日時 | 7月10日(水)15:00~17:00 |
講演 | 「メディアに惑わされない食生活~フードファディズムに要注意!~」 |
講師 | 髙橋久仁子氏(群馬大学名誉教授) |
会場 | スタジオ751+Zoom |
参加 | 20名 |
いうまでもなく「食」は健康医療研究会が目指す「健康長寿」のための重要な手段であり、これまでも「食」の問題は何回かとりあげてきました。
今、巷ではマスメディアに留まらずSNS等でも、食に関する情報が溢れていて、正直何を信じればいいのかわからない、と感じておられる方も多いのではないでしょうか。また最近は紅麹問題も大きく取り上げられ、食に関する正しい知識が必要とされています。
そこで、今回は永年食品に関して研究を続けられ、「フードファディズム(Food Faddism)」という概念を日本において紹介されてきた高橋久仁子氏をお招きし、お話を伺いました。
先生は1982年に東北大学農学研究科博士課程終了後群馬大学教育学部等において、一貫して食生活を教育・研究の対象とされ食情報の妥当性を日常の食生活のレベルで判断する必要性を訴えられ、現在も「食品の広告問題研究会」を主宰されるとともに、「健康食品ウソ・ホント」「食べ物情報ウソ・ホント」(いずれも講談社ブルーバックス)等多くの書籍を著わされています。
ご講演の主な内容
- 「フードファディズム」とは、食べ物や栄養が、健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じることで、針小棒大論、科学的知見の拡大解釈、曲解、科学的根拠のない神話などが含まれる
- 「フードファディズム」とみられる事例がこれまでにマスメディアで多く取り上げられてきたが、その代表例は 2007年に「発掘あるある大事典Ⅱ」での「納豆で痩せる」という情報で、放送後納豆はスーパー等で売り切れ、品切れ騒動となったが、後に番組内容は捏造であることが明らかになった
- 最近はSNSも含め、巷で根拠のない様々なうわさが取りざたされている
- 種々の健康食品には、量の無視等だましのテクニックが多く使われている
- いわゆる「健康食品」とは、「健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して経口摂取される医薬品以外の商品全般」をさし、この中で国が定めた安全性や基準等を満たしたものは、「保健機能食品」と呼ばれる
- 保健機能食品はさらに、「機能性表示食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品(トクホ)」に分類される
- 保健機能食品以外は「いわゆる健康食品」となるが、これらは何らかの健康効果は表示できないので「効能・効果」があるかのように暗示・ほのめかす文言が提示される
- トクホの許可要件も「健康の維持・増進に寄与する」ではなく、「健康の維持・増進に寄与することが期待できるもの」となっている
- 例えばあるトクホ商品は、「血圧が高めの方に適した商品」とあり「血圧が高い人に適した商品」ではない。また「本品は治療を目的とした食品ではありません」と表示されている
- 「いわゆる健康食品」は「これを飲めば食生活が改善される」「生活習慣見直しが不要になる」等の錯覚を起こさせたり、代謝が落ちている高齢者に過大な負担を起こさせたり、といったリスクも含まれる
- 要は日頃から「多くの食べ物をバランスよく食べる」という当たり前のことをきちんと実行することが最も大事な事である
- 「これさえ食べれば、(飲めば)あとは何を飲んでも(食べても)自由、などといったものは存在しない
- 適度に動く・寝る・食べるということが健康管理の基礎・基本である
質疑・感想
- 歯切れがいいご講演で勉強になった。自分ははり、マッサージ、プール、ゴルフ等に邁進していて、100歳を目指して頑張っていく
- (高橋氏コメントー以下同じ)是非続けてほしい
- これまで商社で様々な食品を輸入してきた。リタイア後はバランスよい食事がとれるようになってきた
- 商社の人に頑張って頂いているので、われわれは多様な食生活ができていて、本当に有難い。現役の方は野菜をとることは難しい面もあるが、工夫でカバーできることもある
- サプリの海外での使用状況はどうか
- アメリカはもっと使われている。日本もそうだが広告も×になるようなものも多い
- DFが出した本の「さあにぎやかにいただく」という摂取食物の多様性をうたったフレーズを改めて思い返したい
- 氏の結論を肝に銘じていれば、氾濫する食情報に惑わされることもなくなるはず
以上で予定の時間となったので、最後に講師への謝意を各人盛大な拍手で表して、セミナーを終了しました。
アンケート結果
終了後にメールで依頼したアンケートには7月12日現在で10名から回答を頂きました。
全体の評価としては「大変参考になった」が7名、「参考になった」が2名、「それほど参考にならなかった」が1名でした。
個別の意見・感想も多く頂きましたので、いくつかご紹介させて頂きます。
- 健康食品と言われている製品の詳しい分類と基準が理解できた
- メディアの報道・表記を鵜呑みにしてはミスリードされてしまう、と感じた
- 全般的に やっぱり そうなのか を 納得できる部分が 随所にあった
- 野菜ジュースが食物繊維をとるのにそれほど効率的ではないこと
- 製品メイカーの謳っているアピールと実際の内容の違いがわかった
- サプリメントは止めて多種材料の食事と睡眠と運動をやればよいのだ!
- 食物は自然の物をバランス良く取る事が真の健康的食生活だ
- 上記のような肯定的意見だけではなく、以下のような意見もありました
- 健康食品の悪い面ばかりが強調されていた。解決策がバランスのよい食事というだけでは良い啓発活動とはなりえない。良い点や活用する方法もあるはず
当日参加されなった方で本テーマにご興味のある方には録画の提供が可能です。
(当日参加された方とのバランス上2,000円を申し受けます。)
お申込は下記申込みフォームよりお願いいたします。
動画申込みフォーム
これからも、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。 引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。
また、テーマのご希望についても、同様にご連絡いただきたく、今後ともよろしくお願いいたします。
(文責 江村泰一)