日時 | 8月29日(木) 14:30~16:45 |
テーマ | 企業のリスクマネジメントと保険-損保業界の課題・今後のありかた- グローバルリスクと企業のリスクマネジメント |
講師 | 上垣内 真 氏(マーシュジャパン執行役員) |
場所 | スタジオ751 + Zoom |
参加者 | 27名 |
趣旨
今回はマーシュジャパン執行役員の上垣内氏から、企業のリスクマネージメントと保険に関するお話を頂きました。
保険制度の歴史、日本と米国の保険に対する制度の違い、サイバーや気候など新たなリスクが企業に迫る中、保険に関する現状と日本企業の課題などにつき、私共が現役時代と違い、経営でのリスクマネージメントの在り方につき考えさせられる、興味ある内容でした。
講演資料
講演資料 講師のご厚意で全体を添付します 転用はお断りします。
Q&A
質疑は主に
①リスクの定量化についての課題
②米国のブローカー制度と、日本の保険会社が直接顧客に対応する制度の違いについて
の討議が熱心に行われました。
Q | リスクの定量化をどのようにするのか アドバイスはどのように行うのか |
A | 定量化できるリスクを仕分けし、それにつきどの位のリスクかを定量化する |
Q | 日本の保険業界と米国の違い、日米で大きな差がある人数の有資格者とはどのようなものか |
A | 日本は保険代理店の募集人 米国はブローカーの人数となる日本は比較的簡単に資格が取れ人数が多い 米国はファイナンスの知識なども求められ資格が厳しく、州毎にも必要 ブローカーと日本の保険代理店の募集人とは役割が違う |
Q | 保険が資金調達の一部ということの理解ができない |
A | 日本では保険をコストと考えている しかし、米国での考え方は保険で損害をカバーする投資資金と考える 保険金が新たな投資資金の調達ということ |
Q | 定量化は事業分野によっては難しいのではないか、想定外のリスク、100年に一度のリスクなど定量化できるのか |
A | 保険化できるリスク 火災、地震、操業困難、設備トラブルなど 例えば100年に一度 大きなリスク、 2年に一度 小さなリスクに分けていき、マーシュの持つビッグデータの過去事例のリスクカーブで算出 また、リスクに至るシナリオやベンチマークとなる他社の事例なども参照する |
Q | ポリティカルリスク。地政学的リスクなどはどう見るのか |
A | ポリティカルリスクなどはシナリオで評価 |
A | CFOの下につくリスクマネージャーはどのような専門性がいるのか 社内にいるのか |
Q | 人材の流動化が進み、外部からの専門家を招く 米国では保険会社、ブローカー、企業などを勤め経験を積んだ専門家がいる |
Q | 定量化できないこと、日本では文化として白黒をつけず、腰が引ける しかし、米国方式が必ずしも優れているとは言えないのではないか |
A | 外でも内でもない縁側がある日本の文化、数字化できないことに対処 これも理解できる |
Q | 大手の企業は自社で判断できるが、中小やベンチャーはどうするのか 米国ではベンチャーもこのようにリスクを考えるのか |
A | 米国は保険が前提、ヘッジできることはすべて保険で対応する むしろ大企業はリスクに対する無駄なコストをカットする、いらない保険はかけない |
C | シェルは保険を掛けないと言ってた 自分で対応する |
A | 日本の企業にあるインハウス代理店は米国では理解できない |
C | 個人的にはインハウスの代理店のサービスがありがたい(個人の自動車保険・火災保険・医療保険など) また、企業単位で入るのでコストも安くなっている |
C | 日本の生保などの在り方とブローカー適切か ブローカーは顧客のために保険を勧めるため、保険会社からみると避けたい存在になる 一方でブローカーはリスクマネージャーのいない会社にとって、アンダーライティングで引き受けの有無を判断し保険会社にアドバイスするため、好ましい存在でもある 損保業界の二重構造(代理店を持ちながら、保険会社営業社員が直接営業)は存在するが、重要な顧客にはしっかりとしたリスクが分かるアンダーライティングできる人を担当につける意味で、保険会社が直接担当していると思う 米国ではブローカーが評価する 日本も1996年にブローカー制度を入れたが尻すぼみ、頼りになるブローカーが育っていない |