日 時 | 9月18日(水) 15:00~ |
テーマ | 座りすぎをやめて健康寿命を延ばす |
講 師 | 岡浩一朗(おか こういちろう)氏 早稲田大学人間科学部教授 |
会 場 | スタジオ751 + Zoom |
参 加 | 約20名 |
いうまでもなく「運動」はわれわれ健康医療研究会が目指す「健康長寿」のための必須な要素であり、これまでも「運動」のについて多数回とりあげてまいりました。
一方、その対極にあるものとして高齢者が陥りがちな問題としての「座りすぎ」は、近年その悪影響や対応策が各方面で注目されています。この為この分野で永年研究を続けてこられている岡先生をお招きしてお話を伺うこととしました。
岡 浩一朗(おか こういちろう)先生略歴
1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程終了後、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター)ご勤務等を経て、2012年からは早稲田大学スポーツ科学学術院教授を務めておられます。この間一貫して身体活動・運動の習慣化および座りすぎ是正対策を訴えられていて、「座りすぎが寿命を縮める」「長生きしたければ座りすぎをやめなさい」「行動科学を活かした身体活動・運動支援」等多くの書籍を著わされています。
ご講演の主な内容
- 冒頭、「あなたは1日にどれくらいの時間座っていますか」との問いかけ
- 「座りすぎ」は週刊新潮等多くのメディアで取り上げられている
- 生活・仕事環境の機会化、自動化で座位行動が増加
- 本日の話での「座位行動」とは座位、半臥位、臥位を含む
- 日本人は世界20か国で座位時間が最長
- 日常生活(覚醒時間)の2/3近くは座位行動
- 座りすぎにより、生活習慣病、認知症、肩こり・頭痛・腰痛など多くの重大な疾患を引き起こす
- 座位行動の長さと総死亡率は相関関係あり
- 一方立ちすぎも下肢静脈瘤発症と関連
→座りすぎ、立ちすぎ等同じ姿勢を長時間続けることが問題 - 仕事の場でもプレゼンティズム、メンタルヘルス不調等により
生産性・ワークエンゲイジメントの低下をきたすが、いまだ企業側の理解は深まっていない - 以下対策として、次のようなことがあげられた
- 30分以上連続するような座位行動をできる限り頻繁にブレイク(中断)する。
- 運動の強度は問わない(軽度・中高度で差はあまりなし)
→同じ姿勢を続けない、動く強度より頻度の多さが重要 - ちょっとした運動、簡単なエクササイズの実例紹介
- 道具・器具の有効活用
ウエアラブルデバイス、昇降デスク、ポモドーロ(キッチンタイマー) - ブレイク中のコーヒーは一石二鳥(ネスレと連携)
- 品川女子学院では文化祭で研究発表
- 石川県野々市では自治体・老人クラブが座りすぎ対策に取り組み中
(Stand Up 310キャンペーンー30分に1回立ち上がる) - 厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で座りすぎ防止に言及
- WHOも座位行動ガイドラインを発表
- 結語「まずは立つ習慣を身に付けることから始めよう!」
質疑・感想
- 長時間のPC仕事でお尻の骨があたって痛くなる。何か対策はあるか
→クッションの使用は有効、同時に筋肉を鍛えることが高齢者にとっても有効 - 腰痛のためスタンディングデスクの使用等極力立っているようにしているが立ち過ぎの弊害の予防法は?
→マットの使用が有効。楽さが全然違う
→本件について参加者より、通販サイトで、「立ち仕事用疲労軽減マット」「スタンディングデスクマット」等で検索すると多くの商品がヒットするとのこと。
以上で予定の時間となったので、最後に講師への謝意を各人盛大な拍手で表して、セミナーを終了しました。
アンケート結果
個別の意見・感想も多く頂きましたので、いくつかご紹介させて頂きます。
- 同じ体勢で長時間保っていることが悪いということが分かったこと。
- 座りすぎによる健康被害がかなりあること
- 立ち仕事の際の床(足)マットの活用
- スタンディングマット、座りながらの体操
当日参加されなった方で本テーマにご興味のある方には録画の提供が可能です。
(当日参加された方とのバランス上2000円を申し受けます。ご希望の方は
健康医療研究会事務局 dfkenkohiryo@directforce.org までお知らせいただければ幸いです。
これからも、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。
また、テーマのご希望についても、同様にご連絡いただきたく、今後ともよろしくお願い
いたします。
以 上(江村泰一)