安比地熱発電所・八幡平スマートファーム見学会
技術部会

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技術部会は、9月25日(水)26日(木)に岩手県八幡平市方面(安比高原)の見学会を行いました。 以下要点を報告します。 

八幡平は、太平洋プレートが北米プレートに沈み込むことによる有数の火山地帯です。
日本で最初に地熱発電所(松川地熱発電所、1966年に営業運転開始)が開設されたところでもあります。 宿泊しました新安比温泉は、太平洋プレートが海水を巻き込んでできた地中湖を泉源としておりミネラルが豊富な温泉でした。 

安比地熱株式会社
案内者 安比地熱株式会社 諸岡 幸一 総務部長

安比地熱発電所は、三菱マテリアル(株)、三菱ガス化学、電源開発の出資により設立された安比地熱株式会社が運営しております。

(2019年10月9日設立、2024年3月1日営業運転開始) 今回三菱マテリアル(株)のOB有志の伝手で、安比地熱株式会社の見学ができることになりました。諸氏のご尽力に敬意を表します。

もともとNEDOが地熱発電の可能性を調査していたところを同社が引き継いだものです。(調査開始から営業運転開始まで約10年)

標高1060m(会員の測定による)の地点に位置し、ANA CROWNE PLAZA スキーリゾートから熊が出没しそうな山道を30分。(発電所入口から私有地のため施錠されたゲートが2か所あり。) 生産井は、そこからさらに1600m(資料では2200m)掘り進んだところです。

地熱発電のメリット

  • 再生可能エネルギー 
  • クリーンエネルギー 
  • 安全な国産エネルギー 
  • 安定した電源(ベースロード電源)(同社のパンフによる)

地熱発電に適した場所

  • 地熱と水があること
  • マグマの熱が入りやすいように岩盤に亀裂があること
  • 透水性がよいこと

安比発電所の概要

  • 生産井 4基(掘削に1基 10億円)
  • 出力 14,900kW
    (Fitでは、15,000kWを超えると購入単価がぐっと下がるとのこと。一般家庭25,800世帯分)
  • 産出した蒸気と温水を分離し、蒸気のみ使用。産出量100t/h 温度160~180℃ 圧は不明)
  • 採取する蒸気は、実は蒸気だけでは岩粉が含まれるために、水を添加して、異物を分離させている。
  • 耐用年数は? 松川地熱発電所は50年以上、Fitは15年想定
  • 使用済み蒸気は、復水器、冷却塔にかけ、使用済みの蒸気は地中に返還している。
  • 環境に配慮し、環境影響調査を行い、建屋は若草色、装置(タンク・配管)はこげ茶色を選択。
  • 操業者は、3~5人 月~金曜日 日勤のみ。(夜間、休日は遠隔監視)
  • 敷地は18万㎡(国より賃借)

デメリット

  • 地熱発生地は国立公園にあることが多く、開発が難しい。
  • 山奥にあるために、送電線を引く必要あり。(高価)
  • 安比高原は雪が多く、除雪の必要あり。
  • 標高1000mの山の上にあるために水が乏しい。

八幡平スマートファーム
案内者 (株)八幡平スマートファーム代表取締役 兒玉 則浩 氏 
高石野施設野菜生産組合 事務担当 田畑 麗 氏

もともと、1966年操業の松川地熱発電所から排出する熱水を利用した熱水ハウスで、花卉を栽培していたものでした。(ハウスが八幡平市上寄木地区と高石野地区、全部で60基はあったといいます。)

高齢化と老朽化で、未活用のハウスが増加していたところ、八幡平市の職員がIOT企業である株式会社MOVIMAS代表取締役児玉則浩氏(DF会員)と東京の展示会で巡り合い、同氏が、福岡市に本社を置く農業ベンチャー、グリーンリバーホールディングス株式会社 グループCEO、長瀬勝義氏とともに2017年6月に現地視察されました。

実証検討を重ねた後、2019年1月に株式会社八幡平スマートファーム(農地法に定める農地所有適格法人)を設立、八幡平市高石野地区(実証実験は上寄木地区で実施)の熱水ハウス50棟の再生を目指しております。

昭和59年には現在の上皇と上皇后陛下(当時は皇太子ならびに同妃)がご来臨見学されました。(石碑が残っております。)

現在の規模

  • 熱水ハウス 12棟
  • 1人で1棟管理可能だが、現在は、従業員7~8人(収穫、箱詰めは人手で行う必要あり)
  • ハウス内 室温40℃
  • バジルのみ栽培
    夏場は集荷が増加し価格低下。冬場は逆に出荷が減少し、採算性向上。
    「温泉バシル」の商標取得済み。
  • 販売先 関東圏が多い。全国に販売しているが、遠方になると輸送費が高くなる。
  • 熱水を利用したハウスでの水耕・竪型栽培。(IoTによる完全監視)
  • 農業ポリオレフフィンフィルムを活用
    (以前はビニールハウスと呼ばれていましたが、処理しようとするとダイオキシンが発生するために敬遠され、現在ではポリオレフィンフィルムが主流。)


以 上(山崎哲也)

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