日時 2024年11月月19日(火)15:00~17:00
演題 「矢掛町出身者が見た矢掛町の町おこし」
講師 木口利男会員(886)
会場 スタジオ751 + Zoom
参加者 45名(スタジオ 20名 オンライン 25名)
はじめに
岡山県の小さな町、矢掛町が世界の注目を浴びたのは2018年。古民家や空き家を宿泊施設等として再生させて地域を活性化させた取り組みが評価され、イタリア・アルベルゴ・ディフーゾ協会から、世界初の「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」として「矢掛町」が、またアジア初の「アルベルゴ・ディフーゾ」として、宿泊施設「矢掛屋」が認定を受けたことからでした。
今回の勉強会は、「町ごとホテル」のコンセプトで町の活性化を成功させた矢掛町のプロジェクトに長年にわたり関わってきた、矢掛町出身の木口会員にお話しいただきました。
大学進学を機に矢掛町を離れ、帰省するのは年に数回だったという木口会員が、いかにして「出身者としての視点」と「地元を離れたからこそわかる視点」をもちながら、故郷の町おこしに関わってきたか・・。矢掛町愛に溢れる、他では聞けない講演内容でした。
矢掛町は岡山県の南西部に位置し、人口約13,000人、面積90.62㎢、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた中山間地域です。江戸時代には山陽道の十八番目の宿場町として栄え、現在、全国で唯一、本陣と脇本陣の建物が江戸時代から現存し、国の重要文化財として指定されています。
宿場町として栄えた矢掛町ですが、時代とともに少子高齢化、過疎化が進んでいます。これは多くの地域の共通の問題でしょう。矢掛町は、当時の町長を中心として、2012年から宿場町の風情が残る町並みや古民家を活かした改修事業を行いました。さらに2015年には、町全体を宿と見立てる「町ごとホテ」を核とした「観光町おこし宣言」をし、行政・民間・地域住民のオール矢掛で取り組んできました。
経緯や功績は、下記の資料をぜひご覧ください。
矢掛町の町おこし成功の要因「モノ」「ヒト」「カネ」についても言及しています。
「矢掛町出身者が見た、矢掛町の町おこし」木口利男会員
<矢掛町70th記念映像 HARD編>
講演を聞いていると、矢掛町の取り組みは、町を活性化するだけでなく、住民の生活を豊かにしようという町の姿勢と、その取り組みに民間や住民が当事者意識で関わってきたことが見えてきます。
さらに、矢掛町の町おこしは一過性のものではなく、持続可能なものにしていく施策にも手を抜いていません。町内唯一の矢掛高校の生徒達を、町の伝統的行事や、地域住民との交流に積極的に巻き込む「やかげ学」をたちあげ、「Think Global, Act Local!」のスローガンのもと活動しています。木口会員も出前授業をするなど、次世代を担う若者の育成に貢献しています。「人格形成の大事な時期である高校が、町からなくなるのは何としても避けたい」という木口会員の言葉が印象的でした。
また、矢掛町は美しい街並みだけでなく、どの季節に訪れても豊かな自然を楽しめます。町を東西に流れる小田川の河川敷や、点在する景勝地は、地元住民によって丁寧に手入れされ、四季を通じて花や樹木、夏には蛍が飛びかうなど、その景観や自然が維持されています。
木口会員は、矢掛町には、昔から「ゆい」(仲間)の気持ちが根底にあり、住民同士が声をかけあう町であると語りました。その矢掛町スピリッツこそが、「町ごとホテル」の成功の最後にして最大のピースかもしれません。矢掛町は古の時代から、町全体でお客様を迎え入れてきたDNAと、町を思う「誇り」が、主体的な町おこしの根っこにあると感じられる講演でした。
講演後、木口会員を囲んで、事務所で参加したメンバーと簡単な懇親会を開催。
参加者からは
・インバウンド対策はどうなっているか?
・民間の会社が計画に参加することに、地元住民の反応は?
・地域の医療体制はどうなっているか?
・町の活性化に成功している地域は、共通して、強いリーダーの存在と、外部の力を
うまく取り入れている。矢掛町もまさしくそうだと思った。
など、活発な質問や意見もでて盛会のうちに終了しました。
※編集中、素晴らしいニュースが飛び込んできました。
矢掛町が「街の幸福度&住み続けたいランキング<岡山県版>」で
「街の幸福度ランキング3年連続1位」、「住み続けたい街ランキング3位(昨年4位)に選ばれました。
<街の幸福度自治体ランキング2024中国版>
以 上(宮武 里美)