Well-Being社会やフレイル予防による健康長寿をテーマに
DFと東大IOGが連携会合で大いに議論交流
プロジェクト連携をめざして交流を続けるDFと東大IOG(高齢社会総合研究機構)は、2024年11月28日の会合で、Well-Beingな社会、フレイル予防による健康長寿社会づくりなどの重要テーマについて話し合い、お互いで問題意識を共有できました。
今回の会合では、とくに話が弾んだのがWell-Beingな社会づくりでした。個人や社会が生き生きとした健康的でいい状態を意味するWell-Beingな社会をめざすことには誰もが異存はないものの、具体的にどういった形で実現できるのか、お互いの問題意識を共有する意味で、しっかりと話し合おうということになりました。
辻氏「住民の生き方チャレンジで新地域社会モデルを」と問題提起
まず、東大IOG客員教授で、厚労省元事務次官の辻哲夫氏が「高齢化が進む地域社会にはさまざまな課題があります。健康長寿社会づくりをめざして、フレイル予防を学び、地域の仲間たちがともに励まし合い、かつ、助け合っていくことが重要です。それこそが、今後めざすべきWell-Beingな社会につながるのでないでしょうか」と、問題提起されました。
フレイルは、高齢化によって身体機能や認知機能などが低下し心身が弱まっていく状態をいうもので、世界でも突出する超高齢社会国・日本にとって、その予防対応は課題です。
辻氏は「日常生活でしっかり食べることを含め、しっかりと生きるチャレンジを続けていけば、健康生きがいにつながっていくばかりか、(医療など)さまざまな専門職に依存しないで、高齢地域住民自らの主体性のもとでの地域社会モデルにつながっていくでしょう」とも述べました。いわゆる地域社会に自立型のアクティブシニアを生み出すことで、健康長寿社会につなげていくことが重要、との問題提起です。
『みんなで頑張れ』でなく住民が助け合う意識が重要、と宮崎氏
DF会員の藤村氏は「私たちは、超高齢社会のロールモデルをつくっていきたい、と考えていましたので、Well-Beingな社会をめざすのは間違いなく重要です」と述べました。同じくDF会員の宮崎氏も「人生山あり谷ありの中で、ただ『みんな頑張れ』ではダメです。住民ひとりひとりが状況に応じて、地域社会とバランスをとりながら、助け合っていく意識を持つことが今後、重要になるでしょう」とも述べました。
このあと、DF側プロジェクトリーダーの江村氏から、2025年の早い時期にDF会員600人を対象に、フレイルを予防するための意識調査などを行う予定でいる、との報告がありました。その問題に関連して、辻氏から、DFに対し応援メッセージがありました。
中尾氏「経済的基盤のあるWell-Being社会めざす点は重要」
辻氏は「フレイルの本質は病気でないことです。大事なのは、老化を遅らせるために地域社会で助け合ったりするなど、互いにコミュニケーションをとりあうことです。同時に、フレイルそのものについて勉強することが大事です。私は、企業幹部OBが多いDFの皆さんは問題意識を持つ方が多い、と聞いており、ぜひフレイルを通じてどんな地域貢献、産業貢献ができるかのテーマでチャレンジいただけきたいです」と、DFにエールを送られました。
これに対しDF会員の中尾氏からエールをしっかり受け止める発言がありました。
「辻先生のお話をうかがって、学ぶことが実に多かったです。私たちが、地域社会の仲間たちと励まし合い、助け合って、老化に歯止めをかけるフレイル予防に取り組むだけでなく、超高齢社会時代という新たな時代状況のもとで、とくに経済的基盤のあるWell-Beingな状態をめざすことが重要、DFの人たちは問題意識や志がある方々が多いだけに、その役割を担ってほしい、という辻先生の激励メッセージと理解しました。がんばります」と。
フレイル予防などの調査でDF流に課題浮き彫りめざすと江村氏
江村氏は、会合を締めくくる形で、「DFは、これまで『DF流 健康長寿の知恵』という出版物を通じて高齢者の社会参加や生活の課題などを取り上げてきましたが、フレイル予防などに関する実態調査で課題をさらに浮き彫りにしたいと考えます」と述べました。
そして江村氏は、「素晴らしい問題意識をお持ちの辻先生には、DF会員にフレイル予防問題にとどまらず、さまざまな問題提起をお願いしたく講演会の開催を予定しています。これをきっかけにDFと東大IOGとの連携交流が深まることを期待します」と述べました。
パート2会合では超高齢社会対応テーマなどめぐり盛り上がる
今回の会合にはDF側が、オンライン参加の市古氏以外に岩佐、江村、得丸、中尾、平井、藤村、真瀬、宮崎の各会員と牧野、それに東大IOG側からは辻氏のほか神谷、田中、蒔野の各氏が現場参加しました。
会合後、パート2会合という形で軽食とお酒を交えての交流会合を行ったところ、大いに盛り上がり、超高齢社会時代に対応する社会システムづくりというDFの課題テーマを含め、フレイル予防や健康長寿などさまざまな問題で意見交換があり、とても有益でした。
「本日は東大IOGとDFの共同戦線立ち上げの日だ」と辻氏
会合報告の締めくくりとして、ぜひ、DF会員全員の方々に報告しておきたいことがあります。それは、私たちDF会員が思わず気持ちの高ぶりを感じる辻氏からのDF向けメッセージがあったことです。
辻氏は、Well-Beingな社会づくりなどに向けてのDFとの活発な意見交換がとても有益だったと感じられたのか、「本日は、東大IOGとDFとの共同戦線の立ち上げの日だと思っています」と、熱っぽく述べられたのです。DFも、東大IOGとのプロジェクト連携に向けて、一歩踏み出す時期に来たようです。
以上(牧野義司)