理科実験教室「飛行機」大先生初体験記

  • LINEで送る

この記事は「ど文系」の山崎会員が理科実験のテーマ「飛行機」で講義と進行を担当する“大先生”としてデビューした体験記です。以下、山崎会員の原文です、実感のこもったレポートをご覧ください!
(画像は全て理科実験アーカイブから引用しています)

1. 大先生について

理科実験グループでは、理科実験教室の壇上で講義をし、全体の流れを説明する方を大先生、個別のグループについて指導する方を小先生と呼んでいます。小生は、飛行機の大先生を仰せつかり、その初体験を致しましたので、以下報告いたします。

2. 大先生を仰せつかるまで(サブテーマリーダー選考から)

昨年来、将来のことを考慮して、各テーマ(全部で27テーマ)のリーダーに比較的若い方をサブテーマリーダーとしてつけて、技能伝承を図ることが検討され、実行されました。小生は、最初に教室に加わってその「安全性の高さ」とよく「考え抜かれておられる」ことに感心し「電池」テーマについて、サブテーマリーダーとして頂くように志願しました。

テーマ「電池」

そうするうちに、「モーター」「飛行機」「コンピューター」からもご指名を頂戴しました。小生は「ど文系」でしたが、小学生の頃はいろいろな実験に取り組み、紙と竹ひごのゴム動力のヒコーキを作って飛ばしたり、電気関係はモーターで工作したり、当時の「真空管」ラジオを組み立てたりしておりましたので多少は、腕に覚えがありましたが、実際にできるかどうかは大変に不安でした。

テーマ「モーター」
テーマ「飛行機」
テーマ「コンピューター」

「飛行機」については、まずは実地に理科実験教室に参加することからと、2024年3月16日の世田谷区教育総合センターから始まり、7月13日のさいたま市栄チャレンジスクールツワキッズ、同20日の埼玉県朝霞市の畑中公民館での理科実験教室で腕を磨きました。

飛行機の元々の大先生は、東大工学部で航空工学を学びYS-11の設計、テスト飛行を行われた山之内憲夫会員です。埼玉の2教室は海外出張のために戸田邦男会員が代わりに立たれました。

3. 飛行機の難しさ:組み立て

① 形の切り抜き

飛行機では、紙ヒコーキを型紙から抜き出して、成形していきます。一番最初は、型紙からハサミで切り抜いていたようですが、山之内会員は熟慮の上、型紙に切込みを入れて一部をつなぎとめておく形式に変えられました(手で切り抜けます)。また、紙の水分量(機体の重さ)がフライトに影響するので、同会員は机に静置させてむやみに触らぬように口酸っぱく説明されていました。

②糊付け

成形には、しっかりとした糊付けが必要ですが、多く塗ると今度は重くなりますので、その頃合いが大事です。

③尾翼成形

多くの子どもたち(ばかりか小先生の一部も)が戸惑うのは、尾翼の差し込みです。型紙の一部を切り抜いてガイドとするのですが、その差し込み方がよくわからない子どもが多いのです。両側の水平尾翼の差し込み(切れ込み)に上からガイドを入れ、垂直尾翼は、真ん中のスペースに入れ、水平尾翼は、両側のガイドの外側から差し込んで、上部に引っ張り上げます。そうするとうまく成型できます。

④ 先頭のオモリクリップ

機首を重くして安定させるために以前は、クリップをセロテープで止めていましたが、美観が良くないと、山之内会員は、昨年作成の型紙から、型紙に織り込む形に変更されました。現在のところ、位置決めのための印付けを授業前に小先生が行う必要がありますが、将来的には、印刷で印を入れる方向で検討中です。しかし、個別の変更も、テーマ定例会の審査を受ける必要があり、最低2~3回の審議を受けます。これがテーマをブラッシュアップさせる原動力になります。
(位置決めの印と糊付け個所に色を入れるという提案すら、子どもに少しは考えさせなくて良いのかという反対意見もあります。)

4. 実際の大先生の体験記

2024年12月5日、17日に東京都町田市立第六小学校で、理科実験教室を行いました。(5日は5年生、17日は4年生、午前、午後2回)同校体育館で、5日は5年生2クラス総勢38人(1名欠席)参加、17日午前は31人、午後は29人の参加でした。人数が多いのと、2校時(90分)頂いたので、飛行機作成に時間を多く裂きました。小先生のお蔭で、スムーズに作成はうまくいきました。

 5日では、試験飛行を行うことができましたが、修正の時間が取れずに競技会に入ってしまったので、小先生から「修正の時間を入れるように」との要望が入りました。そこで、17日は少し、機体製作の時間を短くし、「飛行機が飛ぶ理由」の体験と講義の後に、「飛行と修正」の時間を入れました。

5日の競技会では、一番飛んだ子が、チャンピオンに輝きましたが、そのフライトは見事で、斜め上に飛び出して、普通は、そこからループを描いて落ちていくのですが、その子の飛行機は、水平飛行に入り、そのまま高度を維持して壁にぶつかるくらいの見たことがないような素晴らしい飛行でした。

ヒーローインタビューで名前とどこを工夫したのか尋ねてみると、おもりを前だけでなく、後ろにもつけてみたということで、小先生も含め今まで知見のないような取り組みでした。こうして理科実験はまた進化するのだなと改めて感じました。

17日では、午前の部に「飛行時間は長かった」のですが、旋回して「スタートラインに戻る」子もいました。小生は「飛行時間」で採用したのですが、いろいろな意見もあり、午後の部では、「飛行距離」に変更しました。午前の部で一番遠くまで飛ばしました子は特別表彰しました。 自信につながったのではないかと思うとともに、戸田会員の指導力の高さにも脱帽しました。

子どもたち全員が、最後に「楽しかった。」と言ってくれて大変感動しました。小先生の皆様のご協力のお蔭で、不慣れな見習い先生を盛り上げて頂きました。誠に有難うございました。

以 上(山崎哲也)

  • LINEで送る