第9回地域デザイン勉強会報告

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「フレイル予防で健康長寿のまちづくり」

2024年12月17日(火)14:00より、第9回地域デザイン勉強会を開催しました。
今回はかねてよりDFが連携を模索している東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)からお二人の講師をお招きし、「-人生100歳時代到来-フレイル予防で健康長寿のまちづくり~つながりが健康をつくる~」と題したご講演を頂きました。
参加者はリアル・Zoom含め48名と盛況で、ご講演に続き、活発な意見交換が行われました。
お招きした講師は、いずれも東大IOGの学術専門職員である神谷哲朗氏と田中康夫氏のご両名。ご略歴は以下の通りです。

神谷哲朗(かみやてつろう)氏ご経歴

1982年静岡大学理学部修士課程卒業
同年花王株式会社入社。トイレタリー商品開発、 化粧品開発、海外事業等を担当
2012年8月東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員
地域包括ケアモデル事業の「柏プロジェクト」に参画
2020年4月同機構、学術支援専門職員 
全国自治体でのフレイルチェック事業の導入支援、 自治体のフレイルチェックデータの利活用による 介護予防政策支援、生活支援体制整備事業支援等を担当

田中康夫(田中康夫)氏ご経歴

1979年東京工業大学(現東京科学大学)工学部社会工学科卒業
同年東急不動産株式会社入社 
法人営業、総務・人事・リゾート施設運営、 シニア住宅運営を担当
2011年東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の 産学連携活動ジェロントロジーネットワーク」へ参加
2019年東大IOGの学術専門職員、産学連携の事務局を担当

【神谷哲朗氏】

地域づくりー地域がつながることがフレイル予防にとって最も大事
100歳以上がどんどん増えていくこと、空き家が急増していくこと等によりこれから大変なことが起こる
介護保険は結局不健康寿命を延ばしているだけ
フレイル予防にとっては社会とのつながりが最も大事
介護認定率は都道府県格差、同県内でも地域別格差、男女間格差が大きい
フレイル予防は女性にとって重要課題
買い物に行けない問題も重要課題、自動運転等交通整備が重要

【田中康夫氏】

郊外住宅団地の空洞化が大変な問題になる
自治会活動等の担い手がいなくなる
地域での医療・介護体制の整備が必須になっている
高齢者の住宅資産の循環の為、親子間の会話を促す仕組みが必要
「すべての世代でWell-Beingを感じられる社会」を創る
キーワードは「備え」と「循環」

ご講演終了後、多くの方からご意見・コメントを頂きました。その一部を紹介します。
(講演者の 回答は➡)

Q女性の寿命が長く、要介護率が高い、とのことだが、共働き所帯の増加によりそうした状況は変わるのではないか。→女性の地域活動への参加が増えているのは間違いない。
一方寿命の男女間格差は遺伝の問題もある。
Qフレイル予防に民間企業とのコラボが必要、とのことだが、どういう形が考えられるか。→フレイル予防は薬などの医療ではなく、日常生活をどう維持するかである。そうした意味で、フィットネス、食、移動支援などでの民間企業とのコラボが重要。
Q千葉県の郊外団地に住んでいるが、田中さんご指摘の様々な問題が出ている。「地域再生推進法人」 
の活用はどうすればいいか。 
➡自治体により取組が異なる。自治体と相談してみればどうか。
Q高齢者の消費創出等、高齢社会がもたらすメリットもあるはず。どう考えるか。→団塊の世代がこれから85歳を迎える。この年代がフレイル予防に取り組むことが、今後健康寿命を延ばしていくラストチャンスとなる。フレイル予防産業を作っていくこと、また行政にも介護費用の一部をフレイル予防に回す等、応分の負担を要求していくことを行うべき。
Q辻先生が言われるように、「健康と生きがい」をキャッチフレーズにしたい。


※確認中<牧野地域デザイン総研所長コメント>
・東大IOGには初期の8年副機構長として在籍した。
・今日の話を聞いて、当時全体の仕組みがうまく働かなったことに少し残念な思いを持っている。
・これから人材育成とか教育などを含めて、DFとして何ができるか議論していきたい。

以 上(江村泰一)


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