山崎雅史会員(804)が2024年の次世代自動車の動向を振り返り、動画にまとめました。以下、山崎さんのメッセージです。
現時点で入手可能な2024年のデータを解析し、テスラと中国勢が先導する次世代自動車の動向の概要と2024年の振り返りとして中国、米国、欧州市場のパワートレインの推移に焦点を当てまとめてみました。
テスラが進めているカメラとAIだけの「自動運転 2.0」を中国勢も追随する流れが起きつつあります。中国ではEVとPHVからなる新エネルギー車が昨年12月には乗用車の半分を超えました。BYDは軸足をEVよりもPHVの普及にますます力を入れています。従来のPHVが搭載していた10kWhくらいのバッテリーを40kWhくらいに大きくし航続距離が1400kmを超えるPHVに仕立てています。EVに発電専用の小型エンジンを搭載し航続距離を伸ばすレンジエクステンダーEVは理想汽車がブームの火付け役となり、航続距離が1000km~1400kmのSUVとして中国でのひとつのトレンドになっています。
全米ではエンジン車が新車販売シェアの約8割を維持していますが、HVも着実にシェアを伸ばし直近では新車販売の1割を占めています。トランプ新政権のもとでHVは全米でさらにシェアを伸ばすと予想されます。ZEV(Zero Emission Vehicle) の比率設定をしているカリフォルニア州では今までHVの2~3倍のペースで伸びていたEVが2024年にその伸びに鈍化が起きています。そのカリフォルニア州ではEVではテスラが圧倒的な強さを示していますが、カリフォルニア州の新車販売シェアではHV、PHVを強みとするトヨタが新車販売シェアトップの座にあり、テスラは後塵を拝しています。
欧州ではドイツやフランス等主要国でのEV購入補助金の減額や廃止がEVの持続的普及を阻んでおり、さらにEVの高価格化がそれに追い打ちをかけています。欧州委員会が脱炭素の大義名分のもとで欧州自動車産業の復権を期待した「EV一辺倒」の流れは足元の欧州市場で崩れつつあります。
それぞれの地域や国のエネルギーや交通環境に適した「適地適車」の流れが今世界の主要国で起きつつあります。それはまさに消費者の最終選択によるもので行政がトップダウンでコントロールできるものでないことを改めて感じます。脱炭素への道は「マルチパスウェイ」であり、その波がうねり始めているようです。
動画はこちらになります。
https://vimeo.com/manage/videos/1051335214
今年も、山崎さんの豊富なデーター収集と精緻な解析に基づく、報告が楽しみです。
以 上(小林慎一郎)