日 時 | 2025年1月21日(火) 15:00~ |
場 所 | 751スタジオ及びオンライン |
講 師 | 金丸晶子(かなまる あきこ)医師、竹川病院 |
参加者 | リアル、オンライン 計約40名 |

心疾患とは狭心症、急性心筋梗塞、不整脈、心不全等心臓に起きる病気の総称で、その患者数は厚労省の令和2年調査では305万人、年齢層ではやはり高齢者が大多数で、われわれが気を付けなければならない疾患ですが、近年その治療法の進歩が著しい分野でもあります。今回そうした心疾患の最新情報をご提供頂きました。
先生は1986年に京都大学医学部ご卒業後、永年東京都健康長寿医療センターにて循環器分野、リハビリテーション分野に従事され、この分野での深いご経験をお持ちの先生です。
ご講演の主な内容
心不全とは
- 心臓の左室の収縮・拡張の機能障害
- 症状として息切れ、動悸、むくみ、体重増加、疲れやすい、など
「今まで出来ていたことが出来なくなった」は心不全が隠れているかも - 心不全の原因:高血圧・不整脈・弁膜症・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・心筋症
- 高齢者の代表的な病型は左室の拡張不全
- この病型では多くの新薬が開発されている
高血圧
- 「忍びよる脅威」。気づいた時には・・・
- 基準値ガイドライン2025年7月改訂予定
大筋変わらず、140/90 mmHg
不整脈(心房細動、洞不全症候群、房室ブロック、右脚ブロック等)の
新しい治療
- リードレスペースメーカ
心臓に直接埋め込む、感染症のリスク減少 - カテーテルアブレーション
肺静脈の血管を焼灼または冷凍し、電気伝導をブロック、心房細動の根治が期待できる
弁膜症の新しい治療
- 高齢者に多い大動脈弁狭窄症に対する弁植え込み術、置換術
虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)の新しい治療
- 第2世代薬剤溶出性ステント
- 薬剤コーティングバルーン
- エキシマレーザ照射など
心筋症の現在
- 高血圧や冠動脈疾患などの明らかな原因を有さず、心筋に病変がある疾患
- 肥大型心筋症、拡張型心筋症など
- 薬物療法、肥厚した心筋の切除、特殊ペースメーカの埋め込み等
治療選択・治療限界・慢性疾患の緩和医療および、人生観
- 種々新しい治療法が開発され、心疾患治療は著しく進歩しているが、合併症の存在等限界もある。
- 気を付けるべきは、加齢による体の衰え
- 身体機能の衰えで臥床がちから廃用症候群に
- そうなると感染症リスクが増大
- 体の衰えを許容するこころの持ち方、準備も大事となる
質疑・感想
- 朝と夜の血圧の違いはどこから来るか
→自律神経の働きによる - 心拍数で健康状態を管理することは意味があるか
→心拍と血圧で管理するのがよい - 降圧剤は一生飲み続ける必要があるか
→元気な限りは飲み続けたほうがよい。
むしろ下がりだしたときは隠された理由がないか調べたほうが良い - 歩き始めに心臓が痛くなる時があるが?
→歩き続けて治る場合は問題ない。準備運動をしてから歩き出すとよい
高橋先生コメント
最後に、健康医療研究会顧問医である高橋龍太郎先生(Zoom参加)から以下のコメントを頂いた。
- 非常に詳細な話で勉強になった
- 自分は循環器が専門ではなく、収縮する力が落ちるのが心不全の基本であると思っていたが、拡張もよくないことが参考になった
- 循環器分野ではがんで行われている緩和治療があまり行われておらず、日本はその点が遅れている、と感じている
以上で予定の時間となったので、最後に講師への謝意を各人盛大な拍手で表して、セミナーを終了しました。
アンケート結果
終了後にメールで依頼したアンケートには1月25日現在で16名から回答を頂きました。
全体の評価としては「大変参考になった」が8名、「参考になった」が8名でした。
個別の意見・感想も多く頂きましたので、いくつかご紹介させて頂きます。
- 最新の治療の話を聞けて良かった
- 動画による解説がわかりやすくてよかった
- アブレーション治療がよく理解できた
- 専門的な略語は避けてもらった方がよい
- もう少し患者目線でわかりやくすく解説してもらえれば有難い
- 強制ミュートの導入が必要
これからも、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。
また、テーマのご希望についても、同様にご連絡いただきたく、今後ともよろしくお願いいたします。
以上(江村 泰一)