自己紹介
DF超高齢社会問題研究会

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巨大な人口の塊(かたまり)である団塊の世代、約700万人全員が2025年に75歳の後期高齢者領域に入ります。先行して75歳以上になっている人たちを含めれば、その数はさらに膨れ上がり、日本は、間違いなく世界で突出した「超」の文字がつく超高齢社会国になります。このため、その時代に対応する新たな社会システムづくりを行い、世界に向けて、アピールする必要が出てきます。

そこで、私たちDF超高齢社会問題研究会は、その新社会システムづくりにあたり、どんな問題が想定されるのか、課題はいったい何なのかなどを洗い出し、この際、対応策を研究してみようということで、研究会を立ち上げました。

超高齢社会時代に対応する社会システムと言っても、いろいろなことが考えられますが、私たちは、その1つの社会システムとして、アクティブシニア社会づくりがテーマかと考え、それに取り組むのは、十分に意味がある、と考えています。

このアクティブシニア社会は、元気なシニアの老人たちの社会をめざすものですが、高齢化の度合いによって、もちろん、さまざまな問題が出てきます。たとえば奥さんに病気で先立たれて、それまで元気だった老人が突然、孤老状態になったために生きがいを失う問題にどう対処するのか、また若い世代との世代間交流をどうしたらいいのかなど、現実問題として、課題山積であることは事実です。

しかし、発想を変えれば、誰もがワクワクして、新たなアクティブシニア社会をめざす、と考えれば、よし、ビッグチャレンジだ、取り組んでみるのも面白いかもしれない、となるかもしれません。とくに、日本は超高齢社会の先進事例をつくり出し、世界に向けて、アピールする絶好のチャンスと言えるようになるからです。

確かに、取り組み次第では、フレイル予防も必要としないアクティブシニアを軸にした健康長寿社会の実現は可能です。もし実現すれば、医療や介護をそれほど必要とせず、それによって国や地方自治体の財政負担も減るなど、さまざまなメリットが出てきます。

とくに、国や自治体など行政が、これまでの内向き志向や発想を変えて、超高齢社会時代に対応する国づくり、自治体の地域社会づくりに取り組むことがテーマとなってきます。あとで述べる奈良県生駒市で自治体が主導して「まちのえき」というユニークなネーミングの複合型コミュニティをつくりあげたところ、それが弾みになって地域住民、シニアのみならず若い世代を含め交流の場になって、さまざまなプロジェクトが誕生したのは好例です。

同じく企業の側でも、超高齢社会時代に対応して、先駆的なイノベーションで企業主導の面白いプロジェクトを開発し、たとえばパブリックの世界にもつなげて地域社会貢献するとか、あるいはさまざまなコンテンツでユニークな高齢者消費市場を立ち上げ、アクティブな経済社会づくりに貢献するなど、チャレンジ価値がいろいろあるはずです。

私たちDF会員は、企業幹部OBの方々を中心に、問題意識が旺盛な半面、地域社会貢献の体験が少なく、生きがい就労の問題、医療や介護現場の課題などに十分な現場知識を持っていない、という弱み部分があります。

そこで、DF超高齢社会問題研究会としては、まず高齢社会問題研究のシンクタンクである東大IOG(高齢社会総合研究機構)と連携している強みを活かし、さまざまな形で交流を強めさせていただく計画が1つだと考えています。

とくに、東大IOGとDFの連携プロジェクトの東大側リーダーで、元厚労省事務次官、現医療経済研究・社会保険福祉協会理事長の辻哲夫氏は、鋭い問題意識のもとに、「今後の超高齢社会時代に対応する社会システムとして、DFの皆さんがめざすアクティブシニア社会と連動する形で、健康生きがい社会づくりをぜひ提案したい」と述べておられ、私たちDF超高齢社会問題研究会とも接点が多い、と考えています。

それにとどまらず、2025年3月から外部の専門家との意見交換・勉強会を始める計画です。第1弾として、高齢者就労問題のソリューションづくりに取り組むニッセイ基礎研究所上席研究員で、東大IOG客員研究員の前田展弘氏を招いて勉強会を行う予定です。現時点では、3か月に1回のペースで外部専門家を講師にした勉強会を計画しています。

そうした延長線上で、「逆参勤交代」というユニークなシステムを生み出して実践されている三菱総合研究所の主席研究員で、行動的な松田智生氏を招いてお話をうかがうのも検討したいと思います。このシステムは、企業幹部OBの人たちに、江戸時代の参勤交代の逆張り発想で、中核担い手不足に悩む地方に出向いてもらい、地域おこしや企業再生などのサポート、旗振り役を演じていただこうというものです。

また、若者だけでなくシニア世代の起業を積極支援する西澤民夫氏は、オープンイノベーションフォーラム「ローマの市場にて」を通じて、さまざまなベンチャービジネスをサポートして話題になっていますが、ぜひ、登場いただいて、アドバイスを得たいと思います。

ネット上のDF超高齢社会問題研究会のホームページに、メンバーの皆さん向けにアクティブシニア社会づくりなどに関する自由な問題提起型の投稿ページをつくって、情報共有することも考えていきたいと思っています。

また、高齢者医療に関連して地域包括ケアの現場を見学したり、介護ロボットによる高齢者見守り事例の取組みなど現場見学することも計画したいと思います。

高齢者の生きがい就労、とくに地域ぐるみで独自の取組みがあるのかどうか、また相模原市など地方自治体を訪問し、生きがい就労のさまざまな課題を解決するため、行政が、新たな仕組みづくりにチャレンジしているのかどうかも調査してみたい、と考えています。

また、企業が地域社会貢献などのプロジェクトを支援することも、今後、企業が地域社会などで評価される時代になると、大きなテーマになります。それに関連して、定年退職後のシニア世代が付加価値をつけるため、リスキリングのチャレンジをどこまで進めているのか、企業がそういったプロジェクト支援のため、大学に対して寄付講座を提供する事例はどの程度あるのかなども実態調査したいと考えています。

冒頭部分でも取り上げた奈良県生駒市の複合型コミュニティ「まちのえき」は、私たち超高齢社会問題研究会の関心領域にあります。

生駒市自体は、大阪市など関西経済圏のベッドタウンとして成長してきましたが、アイディア豊富な小柴雅史市長の方針で、市民との「協創」をテーマに、市内の自治会館などを「まちのえき」として、市民を主役にした楽しい活動の場、結果として地域課題の福祉・環境・文化・地産地消などの場、人的交流のコミュニケーションの場にしようとアクティブに取り組んだところ、これが大当たりとなったのです。

各地域の自治会が中心になって、カフェやサロンを開催してカラオケやバザー、読書会、健康体操教室などを展開、また資源ゴミ回収ステーションにしたり、地元産野菜などの移動販売、朝市の開催に活用したりして、いつも地域住民のたまり場になっているほどで、いずれチャンスがあれば、現場レポートも考えています。

以上(牧野義司)

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