温泉法と新・湯治 (観光立国研究会 特別講話)

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日時3月3日(月)11:15~12:15
場所スタジオ751
講師楠本浩史氏 環境省関東地方環境事務所 

観光立国研究会の特別講話として、観光省) 関東地方環境事務所 楠本浩史氏に、温泉に関する法律や、温泉地の活性化等を話しいただいた(観光立国研究会メンバーの伊豆芳人さんの紹介)

1971年に公害対策を機に設置された環境庁は、2001年に環境省に。課題変化とともに今日では地球温暖化対策や自然環境保全、循環型社会構築などミッションは多岐にわたる。

現在抱えている環境問題は、人類のあらゆる社会経済活動から生じ得るもので、環境・経済・社会の諸課題は密接に関係しており、各課題の同時解決が必要。

温泉は、過去に降った天水(雨)が数年~数万年の時を経てわき出る「大地の恵み」。温泉の湧出形態としては火山性、非火山性、化石海水型などがある。温泉の泉質は、水の性質、地下の温度、水が通ってくる地殻構造、過去の地殻変動等によって左右される。

温泉法の規定では、温泉とは「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」(温泉法第2条)

全国の温泉地数は約3,000カ所だが、宿泊者数は横ばい(コロナ前の令和元年度末までの傾向)、温泉利用宿泊施設は減少傾向(〃)。

温泉法は昭和23年制定。その目的は、温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与すること。

温泉関連の事故は意外と多く、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止を追加した改正法が平成20年施行された。

国民保養温泉地とは、温泉法第29条に基づき温泉の公共的利用増進のため、国民の保健休養に重要な役割を果たす温泉地として環境大臣が指定。昭和29年に「酸ヶ湯(すかゆ)(青森)」、「四万(しま)(群馬)」、「奥日光湯元(栃木)」を指定以降、令和4年10月現在で79温泉地が指定されている。

「自然等の地域資源を活かした温泉地の活性化に関する有識者会議」にて議論し、環境省が取り組む温泉地活性化の方針として「新・湯治」を提案(平成29年7月)

「新・湯治」とは、温泉入浴に加えて、周辺の自然、歴史・文化、食などを活かした多様なプログラムを楽しみ、地域の人や他の訪問者とふれあい、心身ともに元気になること。年代、国籍を問わず楽しめ、長期滞在を行うことが効果的。

コミュニティ「チーム新・湯治」は、温泉地を中心とした自治体、団体、企業等による多様なネットワークづくりを目指しており、420以上の団体・個人が参加中。都内。地方でセミナー開催や全国温泉サミット、チーム新・湯治全国大会などを開催している。

楠本浩史氏
講話風景

意見交換

楠本様の講話後、参加者全員により活発な意見交換がおこなわれた。

以 上(見目久美子)

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