日時 | 2025年4月15日(火)14:30~16:45 |
演題 | 「変革の嵐のなかの日本の自動車産業」 |
講師 | 山崎雅史会員 |
場所 | DF会議室 + Zoom |
参加 | 40名 |
今回は山崎雅史さんから、日本の自動車産業を取り巻く課題につきお話を頂いた。豊富なデータに基づきEVをはじめとする技術の流れ、中国の自動車産業の課題などから始まり、日本の今後の自動車産業の行方、トランプ登場で攪乱される世界の動きなど興味あるお話であった。

講演内容
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主な質疑
Q | 今後インドやアフリカでもEV化は進むのか トヨタは個別の需要に応ずるのか |
A | マルチパスウエーは時間がかかる 政治、地政学、地域戦略、現地開発・製造、現地に即した決断など 簡単にはできない。スズキが米国、中国はやらないと見切り、インド、東南アジアに集中したのは参考になる。 |
Q | 地政学や政治にも通じた経営者が日本で育つのか |
A | 300万台だけの日本ではモノつくりの人材は育たない。インドの拠点での低価格に合わせた開発が求められる。日本は高価格車 低価格は海外 あるいは日本固有の軽自動車などだろう。軽トラのEV化などは早くやるべきだろう。 |
Q | 経済安保の点からみると、米国は仕方ないとしても中国での生産は安全が保たれるのか ファーウエーなどのバックドア問題などリスクはどうする。 |
A | 自動運転化は問題ある 無線でソフトが変えられる(OTA)BYDの車は操作できる。カメラで情報も取れる。OTA機能を持つ車はリスクを覚悟で中国車を見なければならない。今でも、朝起きたら車の運転感覚が違っていたなどの苦情もあるようだ。 |
Q | トランプ関税は米国に現地化を求めている。日本にとってメリットか、モノつくりの技術を外に出して良いのか。 |
A | 現地貢献もあるから日本車も伸びた。問題は非関税障壁。 |
Q | OTAによる変更は車検から外れてくるのではないか。車検制度が維持できなくなるのではないか。一方で日本の邪魔になる規制に対する外圧になるのではないか。 |
A | OTAでの車の能力の改変は届け出の義務がある。しかし野放しになるかも。 |
Q | 国際標準は進んでいるのか |
A | ISOは守られている 情報共有で進化 |
Q | 電池は規制の対象外、車検の項目にもない |
A | EVの中古、劣化が判断できない |
Q | 電池診断書をつける会社に関わってきた、質がバラバラ、診断書で価値が違ってくる |
A | 欧州の車、特にVWなどは大変と思うが、先行きはどうか |
Q | 厳しい。EUの電動化政策は補助金など急伸。しかしEVの課題が出て補助金も止めた。EV以外に新たな投資となる経営は厳しい。ポルシェなどは合成燃料を使いエンジン車で行くようだ。英国もEV化に立ち止まっている。 |
A | HVは延命されるのか |
Q | 延命には頼らないほうが良い。将来はEVへと進むだろう。中国ではPHVやエクステンダーに転換している。 |
A | 中国は欧米にさらに出てくるか |
Q | まず海外は東南アジア、ブラジル。中近東にはすでに出ている。今後はインドからアフリカを進めるだろう。民間企業は力をつけているが、国営企業は今後合併統合が進むだろう。ファーウエーなどによる横ぐし展開、オールチャイナに注意。 |
A | 中国車のアキレス腱は品質。5年後くらいに評価が出るだろう。米国車に似ている。中国は格好良い、自動運転化など興味に刺さる車作りに注力。 |
A | 中国メーカーでテストコースを持つ会社はない。死亡事故も多い。 |
Q | 総合的な技術力の競争、中国では電子のファーウエーなど自動運転、人工衛星など強い、いつの間にか日本が追い越されるのではないか |
A | 東大の藤本先生が、重さのある世界、重さのない世界、この2つの世界での開発の違いを、重さのある世界はハード、ない世界はソフトとし、中国は重さのない世界に強いと表現。 日本のトヨタのようなモノつくりに対する厳しさを生かすべきだろう |
以 上(浅野応孝)