技術部会 見学会報告記
量子科学技術研究開発機構(略称QST)

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技術部会は、2025年4月9日(水)に、千葉市稲毛区にある量子科学技術研究開発機構の見学会を実施しました。 同所(広さ東京ドーム3個分)は、医療機関も兼ねているので、体調不良者は参加できないルールで、参加者は9名となりました。 しかしながら、世界で初めて放射線治療設備を完成させたHIMACHeavy Ion Medical Accelerator in Chiba)の見学及び説明、PET(Positron Emission Tomography) 検査機器の開発現場をご案内頂きました。

(1)重粒子線によるがん治療装置の開発

1993年に完成した世界初のHIMACは、160m×60m(地下四階相当、25m掘り下げ);ほぼサッカーグラウンドと同じ広さ。これを病院に収めるべく縮小化の研究・開発を行い第4~5世代のシンクロトロンは直径約9m。

(2)認知症の原因物質であるタンパク質(アミロイド、タウ等)の蓄積状況の把握

PET装置の研究・開発但し、日本では、2021年に587台しかなく、9割が外国製(GE、シーメンス)一方中国では、800台、約4割が国産(国策による)

(3)放射線利用技術の安全性のPR

(4) 緊急被ばくの医療対応(REMAT等)

(1)HIMAC棟

解説;QST病院 放射線品質管理室長 水野秀之氏
大変熱心な解説を頂きました。 残念ながらシンクロトロンは作動中のために見学はできませんでしたが、イオン発生室内部の見学を許して頂きました。

解説;量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部次長 山谷泰賀氏、 
量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部GL 高橋美和子氏)

PET開発現場では、脳に特化したPET装置を開発して外国製大規模装置に比して低コストでありながら高解像度の結果を出しているにも関わらず、日本ではほとんど製造されない現実、中国企業が(特許を取っていないために)同装置を製品化している現実等を見せつけられました。

開発の先頭に立つ山谷次長は、一般社会に知られない現実を訴えられました。 DFには、その影響力を使って社会に浸透させることを期待されました。
同席された高橋GLは、まず、日本人に放射線の活用の現実(「危険だ」ばかりでなく)を知って頂きたいとの要望が出されました。

日本は要素技術(光電管:浜松フォトニクス、ガンマ線を可視光線に変える部材等)では負けないのにシステムにすると負けてしまう現実も説明頂きました。

ディレクトフォースでは、まず、こういう現実を理解していただく機会を設けるべきではないかという意見が会員より出ました。 

2025年11月16日(日)に研究所の一般公開を行い、普段は見せないところも見せてくださるということで、来場のPRがありました。

稲毛駅前で、反省会を開催しましたが、大変興味深い話であったという感想とともに、
様々な意見が出され、大変充実した時間を過ごすことができました。

以 上(山崎哲也)

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