今春、NY在住の弁護士 秋山武夫会員(1417)に、以下2回の知楽会にて
ご講演いただきました。
第32回知楽会:日鉄による U.S. Steel の買収~八方塞がりの買収劇~
第35回知楽会:トランプ大統領が出す大統領令~乱発される伝家の宝刀~
その後、大統領令への判決や U.S. Steel 買収承認等の情勢変化に対して、
見解や課題、今後の展望についてレポートをお寄せいただきましたので、
紹介いたします。

米国弁護士 秋山の視点 日本製鉄の U.S. Steel 買収について その3(会員限定)
日鉄による U.S. Steel 買収は、経営面で大きな懸念を伴うものとなっている。買収承認にあたり、米国政府からは米国人雇用の維持、経営の独立性、資産の国外移転制限、米国籍取締役の過半数確保など、多くの制約が課されたとされる。これらは日鉄にとって経営の柔軟性を奪い、重荷となりかねない。また、米国政府が「黄金株」を保有する可能性も取り沙汰されており、重要事項に対する拒否権が与えられている場合、日鉄は実質的な支配権を制限される立場にある。さらに、日鉄は数兆円規模の投資を約束しており、今後は投資を守るために不利な条件でも交渉を余儀なくされる構図に陥りかねない。
加えて、日米間には交渉文化の根本的な違いが存在する。米国では「譲歩を装いながら譲らない」交渉が一般的であり、日本側の「誠実な歩み寄り」を重視する姿勢は、結果的に実質的な譲歩を生むことが多い。こうした文化的齟齬が、日鉄にさらなる不利をもたらす恐れがある。名目的には買収者である日鉄が、実質的には米国側の意向に従わざるを得ない立場に陥るリスクが顕在化している。(ChatGPTの要約 500字)
※ ChatGPTの要約は、必ずしも秋山さんの本意を伝えるものではない可能性がありますので、ぜひ、全文をご覧ください。
トランプ大統領の「包括関税」をめぐる法的攻防(会員限定)
2025年5月、トランプ大統領は U.S. Steel 本社で演説を行い、日鉄による買収を「米国の勝利」として宣言した。この演説は、同買収が経済的取引を超えて政治的象徴となったことを意味する。トランプ氏のゼロサム的な世界観では、協調よりも勝敗が重視され、日鉄との「共存」は語られず、米国とU.S. Steel の利益のみが追求される構図となっている。買収承認にあたり、日鉄は雇用維持や経営独立性確保など多くの制約を受け入れたとされ、一部では米国政府による「黄金株」保有の可能性も取り沙汰されている。巨額の投資を約束した日鉄は交渉上の立場を失い、今後は一方的に要求を受ける側となる恐れがある。加えて、米国の交渉スタイルと日本的誠実交渉との文化的違いが、さらなる譲歩を日鉄に強いる要因となりかねない。形式的には買収者である日鉄が、実質的には米国に従属する“主客転倒”の構図となり、今後の経営判断次第では、日鉄本体や日本経済に深刻な影響を及ぼす可能性がある。(ChatGPTの要約 400字)
※ ChatGPTの要約は、必ずしも秋山さんの本意を伝えるものではない可能性がありますので、ぜひ、全文をご覧ください。
参考:第32回知楽会
「日鉄によるUS STEELの買収」~八方塞がりの買収劇~
参考:第35回知楽会
トランプ大統領が出す大統領令 乱発される伝家の宝刀
以 上(見目久美子)