第40回健康医療研究会セミナー
『ワンランク上の紳士淑女のための
令和版あるべき終活
中級』

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日 時2025年9月26日(金)
場 所DF事務所 Zoom Hybrid Meeting
講 師山崎 宏会員(1524)社会福祉士
参加者DF事務所   17名
Zoom    38名

このセミナーでは、人生100年時代における終活の必要性と具体的なリスクマネジメントに焦点を当てており、特に「百寿曼荼羅」というフレームワークを用いて、終活キーパーソンの選定、介護、認知症、医療、財産承継など9つの必須項目について詳細に解説いたしました。講師の山崎宏会員(1524)は、元気なうちに事前の意思表示(エンディングシート『賢者の一筆』の作成)を行うことが、老後の生活を自分らしく全うし、子どもや家族に負担や争続(争う相続)のリスクを負わせないための最重要ミッションであると強調いたしました。また、参加者に対し、社会福祉士の活用や、次回の上級編に向けて準備用の動画を視聴するようお願いをいたしました。

要約(音声版 約16分)画像生成 Nano Banana、音声生成 NotebookLM

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男女のアナウンサー

要約(文書版)

「令和版あるべき終活」の要点は、昭和時代の終活と比べ、主に平均寿命と健康寿命の差が拡大したことに対応し、親が子に負担や不利益を負わせないよう、生前のリスク対策と具体的な準備を重視する点に変化しました。
昭和時代の終活と令和版あるべき終活の要点の具体的な変化は以下の通りです。

1. 終活の目的と方法の変化

観点昭和時代の終活令和版あるべき終活
中心的な手段遺言を書くことが典型的でした。リスク対策としての「段取り」です。遺言は争族(遺産をめぐる家族間の争い)のきっかけとなりやすいため、それだけに頼るのは不十分です。
目的主に死後の財産分与や意思伝達を目的としていました。「まさかの段取り」(Preparations)により、大切な子に面倒や不利益を被らせないこと、および「生涯主役人生」を全うすることを目指します。これは親の最後の大きな仕事(ファイナルミッション)と位置づけられます。
焦点死後の手続きや遺産分配に焦点が置かれがちでした。健康寿命が尽きてから平均寿命を迎えるまでの10年間のリスクヘッジ(備え)に焦点が置かれます。

2. 人生設計の変化(健康寿命と平均寿命の乖離)

昭和の頃は、祖父母が病床に臥してから半年以内に亡くなる、いわゆる「ピンピンコロリ」のケースが一般的でした。この半年程度の期間であれば、長男などがコストを立て替えることも可能でした。

しかし、令和の現在ではマクロトレンドとして、健康寿命と平均寿命の差が平均10年(女性は12年、男性は9年)となっています。この10年間は、要介護や認知症などの状態(療養期間)で生き続けることが「ざら」であり、この長期間にわたる介護や医療コストの負担が、今の現役世代の子どもたちにとって大きな問題となっています。

3. 家族構成と争族リスクの変化

昭和時代であれば、争族(遺産争い)は親が亡くなり、遺言が開示された後に、少なく評価された者がクーデターを起こす、というイメージでした。

令和においては、親が要介護や認知症になって倒れてからエンディングを迎えるまでの長い期間(約10年)に、子どもたちの誰かが医療や介護費用を立て替えておくことが困難になっています。遺言があるからこそ、それがきっかけで争族が増える傾向があります。

特に、子どもが複数いる場合には高い確率で揉めることが指摘されており、親が元気で判断力があるうちに、財産承継の基本方針を決めておくことが極めて重要とされています。

4. 財産承継の戦略の変化

昭和時代は死後の「相続」に重点が置かれていましたが、令和版あるべき終活では、生前贈与や財産管理の重要性が増しています。

生前の先渡し: 認知症になって口座が凍結されるリスクや、子どもに介護の負担を強いらせないため、財産を生きているうちに渡す(生前贈与)ことが推奨されています。

「ちょこちょこ先渡し」の推奨: 財産を一度に渡すのではなく、「会うたびちょこちょこ先渡し」(扶養援助)という非課税の範囲で生活費や教育費を支援する方法が、親子の絆を保ち、争族リスクを低く抑えるのに有効とされています。

法的な備え: 遺言だけでなく、財産管理委任契約、任意後見契約、家族信託をセットで公証化し、終活キーパーソンが他の子どもたちからの無謀な要求に対して法的に守られる体制を整えるべきだとされています。

5. 終活の具体的なアクションの変化

令和版の終活は、親が判断力や威厳を失う前に、具体的かつ包括的にリスクに備える必要があります。そのために「百寿曼荼羅」(終活ベーシックナイン)という9つの老後の課題に関する基本方針を決めるフレームワークが用いられます。

9つの課題とは、「終活キーパーソン」「要介護」「認知症」「施設さがし」「手術」「延命治療」「財産承継」「葬儀」「死後事務」です。

また、具体的な実践ステップとして、以下の6つのステップ(「決記縮伝頼渡」)が提示されています:

1. 決(決める): キーパーソンと9大課題の基本方針を決定する。

2. 記(記す): 基本方針を「賢者の一筆」(エンディングシート)に記す。

3. 縮(縮める): 子どもとの心の距離を縮める活動を行う(昭和の企業戦士型親子の反省点)。

4. 伝(伝える): 現時点での想いを伝える。

5. 頼(頼む): サポートの実行を依頼する。

6. 渡(渡す): サポートに必要な予算と財源を先に渡しておく。

特に、子どもたちに老後の面倒や不利益をかけさせないため、親の側から子どもに歩み寄り(親の側からLINEなどで「ワンコミュニケーション」を始めるなど)、コミュニケーションを密にすることが重要視されています。

参加者のご感想まとめ(ご提出いただいたアンケートフォームをNotebookLMで要約を生成)


今回の「終活」に関する講演は、参加者にとって「人生会議や遺言書のリスク」や「終活キーパーソンの選任の必要性」など、具体的な行動を促す上で非常に有用であったと評価されます。参加者は、講演を通じて得た知識を家族や知人に伝え、自身の終活プランを具体的に「ブラッシュアップ」したいという強い動機付けがされています。
今後は、高い需要が確認された「上級編」や、秋活同好会「百寿倶楽部」の立ち上げを通じて、継続的な情報提供を行うことが有効と考えられます。また、今後のWebinar運営においては、雑音対策(ミュートの徹底)が最優先の課題となります。

以 上(森川紀一 健康医療研究会)

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