企業ガバナンス部会では、毎年11月から翌年7月にかけて、有志の会員が小グループを組み、時代のニーズに合ったテーマを選びながら、互いの学びや経験をもとに熱い討論を重ねています。
その成果は、7月の全体発表会で披露され、毎回多くの刺激と気づきをもたらしています。今年も、この伝統ある小グループ研究会(第21クール)のメンバーを募集いたします。
今回の統一テーマは、
「企業の価値向上と持続的成長に資する社外役員を目指して」。
変化の時代に求められる新しい企業のあり方、そして社外役員の役割を、多様な視点から探究してみませんか。
ぜひ案内資料をご覧のうえ、ご参加をお申し込みください。
皆さまの積極的なご参加をお待ちしています。
問合せ先:國安幹明 mkuniyasu31@gmail.com
企業ガバナンス部会のセミナーはディレクトフォースの会計年度に合わせて9月~8月をクールとして2005年から続く伝統あるセミナーを開催しています。
このセミナーは非常勤取締役、常勤監査役などを目指す会員、あるいは最先端のガバナンスの動向を知ろうとする知識旺盛な会員のために、著名な企業人学者をお招きして講演会を開いています。
今回は第21クールの1回目のセミナーでした。
| 日時 | 2025年9月29日(月)14:00~16:10 |
| 講演 | 取締役会の機能の高度化 |
| 講師 | 塚本英巨氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー弁護士) |
| 会場 | スタジオ751 + Zoom |
| 参加 | 39名(後日視聴した者を含む) |

講演概要
1.取締役会の「監督」機能とその高度化
- 近時は、「稼ぐ力」の強化のため業務執行者に対する監督機能を重視するタイプの取締役会=「モニタリング・モデル」取締役会が求められている。
- そのため、「経営の監督」の中核として、経営を担う経営陣(特に社長・CEO)に対する評価と、それに基づく指名・再任や報酬の決定が重要。
- より具体的には、業務執行者の業績評価に基づき、以下の指名・報酬に関する人事権を行使
- 当該業務執行者に引き続き自社の経営を任せてよいかを判断し、業務執行者の候補者を指名し、場合によっては、解任・不再任(交代)。
- 当該業務執行者の報酬を決定し、また、業績向上に向けたインセンティブとなる報酬制度を設計
- 「攻めの経営」:中長期目線の成長戦略によって成長期待を集め、事業ポートフォリオの最適化や積極的な成長投資を実践する経営
- 『稼ぐ力』を強化する取締役会5原則は、「TOPIX500を構成する上場会社」が主な対象
- 必要な権限を業務執行者に付与し、一定のリスクテイクを行う業務執行を可能とする。
2.各論 ①:取締役会のアジェンダ設定の在り方
- 取締役会の監督機能を重視する以上、取締役会においては、個別具体的な業務執行事項を決定すべきでなく、そのためのアジェンダ設定の見直しが重要
- 権限移譲 執行側に任せていいのか? 執行側ができる体制か?を確認する必要
- 中期の経営方針・経営戦略・経営計画の策定とその進捗状況、経営課題への対応
- 取締役間で議論するインフォーマルな場(役員懇談会、役員意見交換会、役員合宿)を設け、ざっくばらんな意見を出しやすいようにする。
3.各論 ②:業務執行者の「解任・不再任」
- 取締役会5原則では、最適なCEOの選定と報酬政策の策定を行うとともに、毎年、取締役会5原則の原則1~4の内容も踏まえたCEOの評価を行い、再任・不再任を判断することが求められている。
- 毎年、CEOの評価を通じて、CEOが期待通りのパフォーマンスを発揮しているかについて、中長期的な取組の実施状況等も含めて検証する。
- 自社の目指す姿や経営環境、CEOの評価結果等も踏まえ、CEOを誰に任せるのが最適であるかを十分に検討する。
- 刺激的な「解任」は不定期なものであり、実際は「解任」ではなく再任しない=不再任が重要
- 解任・不再任の基準に抵触したからといって、直ちに解任するわけではないことに留意する必要
- 社外取締役ガイドラインにおいても、「解任基準を事前に明確にする趣旨は、社長・CEOの解任について検討を行う場合を予め明確にしておくことで解任に関する議論に入りやすくする趣旨であり、形式的な基準を定め、機械的な運用により社長・CEOの解任を行うことを推奨するものではない」とされている。
4.各論 ③:社長・CEOの後継者計画の監督
- 現職の社長・CEOら社内取締役と社外取締役が共同して取り組むことが重要
- 権力の源泉:社長の一存で決められていたものを社長と取締役会・社外取締役が共同で決めていくという発想
- 指名委員会における審議・検討の状況について取締役会に共有し、その上で、取締役会においても、後継者計画の運用状況等について議論
質疑応答
| Q1 | CEO任期は多くは1年が多いが、経営の短期志向は良くないという議論と矛盾する。中計との整合性やCEOの再任基準との関連をどう考えるか。 |
| A1 | CEOの業績を評価しながら再任をどうするかは、法律上の任期とは一応切り離して考えることも可能ではないか。 |
| Q2 | 稼ぐ力=CEO。誰を選ぶかが大事。指名の役割重要。社長の選任に失敗したときに指名委員会が責任取ったということを聞いたことがない。説明責任果たしていない。 |
| A2 | 社外取締役の責任を明確にしていくのはこれから重要となるであろう。株主も総会で当該指名委員に反対票を投じるといった動きになることも考えられる。 |
| Q3 | 社外取締役が機関投資家など対外的にもっと説明する必要があるのではないか。 |
| A3 | 特に、社外取締役が取締役会議長となるような場合は、社外取締役が前面に出て取締役会がどのように機能しているかを説明することにもなるであろう。 |
| Q4 | 取締役の役割として、アクセル面とブレーキ面を明確に分離すべきではないか。 |
| A4 | 個々の取締役に全てを求めるには限界があり、「チーム取締役会」として、スキルマトリックスに表示される夫々の専門能力を活かしつつ総合力を発揮していくという方向ではないか。 |
| Q5 | 解任・不再任の前段階で経営者の業績評価が必要となるが、定量面だけでなく定性面も重要であり、社内の重要なステークホルダーである従業員からの評価も必要ではないか。 |
| A5 | ベストプラクティスとしては、ガイダンスにもあるとおり、数字面だけでなく社長の360度評価や従業員エンゲージメント調査による評価も求められる。 |
| Q6 | リスクテイクの後押しについて触れられているが、どの程度迄を想定しているのか。 |
| A6 | 飽く迄ビジネスジャッジメントの上で事業リスクを取ることを推奨しているものであり、法的リスクや内部統制上のリスクまでとることは含まれない。 |
以 上 (柳澤達維)