第42回OVER80安全保障問題分科会の対面での時事討論会が、2025年10月24日(金)10:30~12:50スタジオ751にて、続いて懇親会が13:00~14:30新橋亭にて、8名の出席者を得て開催されました。

高市内閣誕生、トランプ旋風、ガザ紛争、ウクライナ紛争と国内外に亙って話題が尽きません。 和田主宰から仏のE. Todd氏著「西洋の敗北」(2025.9日本語版)を参考にした話題提供「米国を中心とする西洋の敗北と日本の選択」に絞って議論を進めました。
初めに結城さんから、最近北京在住の知人から入手した中国上層部人事のトピックスを話していただきました。
これを契機に中国に関する話題が展開。「人事異動があっても中国はあまり変わらないと思う」「中国は各国から金と技術を集め発展してきたが、次第にそうはいかなくなってきた。そこで、人材育成、技術開発に力を入れ始めた」「中国の技術はオリジナルではない、日本にとっても今は脅威だが抜くことはできる」「中国は何をつくるかのコンセプトに弱いが、実用化することに強い」「台湾危機という言葉は米軍人発で、真に存在するのか。中国にとって台湾に経済的価値はない。台湾は鶏の骨に過ぎず肉は食えないという言葉もある」「中国が米国に代わって世界のリーダーとなることは難しい。文化として支配する形だからだ。自由をもって秩序を保つ形が良い」
AIにも話が展開。
「AIは、ものつくりのように、多くの人的資源を必要としない。人口減少の日本にとってはチャンスではないか」「米国が強いと言われるAI技術も中国は90%キャッチアップし、抜くのも時間の問題ではないか」「大きな電力を必要とするが、太陽光、風力発電では補完出来ない。原発が必要である。海峡封鎖など物流障害の影響も受け難い」

そして最後は日本はどうすべきかに移りました。
「弱ってきた米国に取り込まれずにどうすべきか?過去を考えると簡単に切り替えることも難しい」「将来どのような日本にするのかビジョンがない。中国の5か年計画を見習うべきでは」
「過去にビジョンと言えるのは、『もはや戦後ではない』『所得倍増計画』『田園都市構想』があった」「今までの日本は、下手なビジョンに縛られず(ビジョンがない)、状況を見て上手く立ち 回ってきたと思える」「トランプ大統領は従来の秩序を破壊している。これは新しい秩序を作るチャンスとも言える」
日本がどうするかを考えることが重要で、他国の状況を批判していても意味がないと思う。会議室でも懇親会場でも、議論が尽きず、大きなテーマだけに結論には至りませんが、各自お互いの意見交換によって、頭の中で整理が進み、新たな問題が提起され、充実した気持ちでお開きとなりました。
冒頭、議論に入る前、前日のDF会員総会に出席できなかったメンバーのために、矢島事務局長からDFの現状と今後の計画についてスライドを使用して説明していただきました。急なお願いに嫌な顔せずご快諾いただき深謝いたします。
以上(保坂 洋)