| 日時 | 2026年2月24日(火)14:00~16:00 |
| 講演 | 「企業永続のためのファミリーガバナンスの在り方~ファミリーガバナンスの現場より」 |
| 講師 | 株式会社フィーモ 代表取締役 大澤真氏 |
| 会場 | スタジオ751+Zoom |
| 参加 | 30名(後日視聴した者を含む) |

講演概要
1. ファミリービジネスの特徴
①日本には「100年企業」が約4万5千社と世界の半数近くが存在する。上場企業約4,000社のうち532社が「100年企業」で、その多くがファミリービジネスである。
②ファミリービジネスは不動産や金融資産の蓄積が厚く、経常利益率、自己資本比率が相対的に高い。また、不況期にあえて積極的な投資を行う「逆張り的な経営」や従業員の賃金引上げにも前向きな傾向がみられ、上場会社においても永続性を最重視するオーナーの経営判断が反映していることが窺える。
③ファミリービジネスの永続性を支える根底には、以下のような利他心を背景にした「信頼」があると実感する。
・顧客、社員、取引先、地域社会など、株主以外のステークホルダーも重視
・技術やノウハウを公開する、オープンイノベーションの推進(ふくや等)
・地位産業振興、文化、社会などの公共性の高い活動を通じた、地域経済への貢献(赤福等)
2. ファミリービジネスを巡る政府の動き
これまで少し負の印象もあったファミリービジネスであるが、政府としても上記のようなファミリービジネスの特長を前向きに捉え、経済産業省内に研究会を設置し、「ファミリーガバナンスガイダンス」の策定に向けた報告書が公表される見込み。
(講師が長年接点のあるオタフクソース元社長も研究会メンバーの一人で、その知見も反映されている)
3. ファミリーガバナンスとは何か
①ファミリーガバナンスとは「家族が所有・経営する企業や資産を、世代を超えて持続的に維持・発展させるための統治機構」。具体的には、家族憲章およびファミリーオフィス・家族会議からなる意思決定から執行の仕組みを意味する。ここで特に重要なのは、全員一致と相続の継承コストに備えた資金プール。
②事業会社の取締役会を核とするコーポレートガバナンスは、ファミリーガバナンスとは大きく性格を異にするが、ファミリーオフィスとの連携は重要。(項目5.参照)
4. ファミリーガバナンスの機能不全
ファミリーガバナンスの機能不全に伴う経営の混乱には様々な様態がある。
・ファミリー内の後継適任者不在
・事業の長期ビジョンの不一致(某家具店、某老舗旅館)
・後継ルールが無く、超長期政権が継続(某モーターメーカー等)
5. ファミリーガバナンスとコーポレートガバナンスによる企業価値の共創
株主専決事項については、ファミリーガバナンス側で決定するものの、その他の意思決定(コンプライアンス、配当政策、M&A等)については、ファミリーガバナンスとコーポレートガバナンスのコミュニケーションによる役割分担の明確化が、企業の永続と長期的な企業価値の向上に不可欠である。
質疑応答
| Q1 | ファミリーガバナンスに関するスリーサークルモデル、PPP(パラレルプランニングプロセス)についてどう考えるか。 |
| A1 | 米国のビジネススクールなどで教える一般的な理論。そのまま日本の企業に当てはまるかというと、そうでもない。日本でも理論・実践に通じた人材が求められる。 |
| Q2 | 長寿企業におけるファミリーガバナンスとコーポレートガバナンスのバランスに業種的な特徴はあるか。 |
| A2 | 業種というよりも公益性重視か収益重視かによって、両者のバランスが変わる印象があり、前者の方がファミリーガバナンスに重きがある傾向がみられる。 |
| Q3 | 後継者を選ぶ際の判断のポイントは何か。 |
| A3 | ルールに則って決めるのが最善だが、能力に差がないような場合は周囲の評価も重要。 |
| Q4 | 日本の経営には、儒教や算命学などを背景とした明文化されない王道学のようなものがあるのではないかと感じるが、いかがか。 |
| A4 | 確かに、家訓には宗教的色彩を感じることがあり、理念として極めて重要だと思う。一方、家族憲章は具体的なhard lawの位置づけで、明文化していくことが大切。 |
| Q5 | 最近になってファミリービジネス、ファミリーガバナンスが注目されるのはなぜか。 |
| A5 | 戦後に起業した多くの会社が世代交代期を迎えていることがあるが、米国でファミリービジネスのパフォーマンスが相対的に良いことが明らかになり、日本でもファミリービジネスに対する認識が変わってきたことが大きいと感じる。 |
| Q6 | ダイエー、ヨーカドー、イオンの中で、イオンだけが上手くいっている理由は何か。 |
| A6 | 3社の企業内容やファミリーネスを良く承知していないので適確なお答えは難しい。ただ、これまでのところは、イオンはM&Aが奏功し、また岡田家への求心力が強いことは確かだと思う。 |
以 上(金子健一)