| 見学先 | 国立天文台三鷹キャンパス(東京都三鷹市大沢2-21-1) |
| 日程 | 4月28日(火)10:00~13:00 |
| 参加者 | 18名 |
技術部会は、全国の国立天文台の本部である三鷹キャンパスの見学会を2026年4月28日(火)に実施しました。前日の雨模様とはうって変わり晴天に恵まれ良い見学会になりました。
朝9時に調布駅に集合し、バスで天文台へ移動。10時から3時間弱、三鷹キャンパスを見学しました。
参加者は、技術部会員18名です。

見学会内容
① 4D2U(Four-Dimensional Digital Universe 4次元デジタル宇宙)ドームシアター
最新の天文学データを基に宇宙を4次元(空間3次元+時間1次元)で可視化、天体や宇宙の構造を立体映像で再現する映像空間です。

2001年に発足した「4D2Uプロジェクト」で開発された最新の観測データや理論モデルを用いて、宇宙の階層構造をリアルタイムに可視化するソフトウェア「Mitaka」を用いて、直径10メートルのドームスクリーンに映します。
(「Mitaka」の簡易版は無料のソフトです。https://4d2u.nao.ac.jp/mitaka/よりダウンロードできます)
全天周の立体映像により、宇宙の構造や進化を直感的に体感することができました。地球を出発して太陽系、銀河系、銀河団、宇宙誕生時の138億光年先の姿までを立体映像とともに見ることができました。
最近のトレンドであり、現在国立天文台が注力している領域であるダークマターハローを映像化して紹介していただきました。
② 先端技術センター(ATC)
国立天文台の天文学研究を観測機器の研究・技術開発で支える機関です。「見る」「測る」「作る」「操る」技術開発が行われています。すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡、重力波天文学をはじめとする観測装置の開発をしている組織です。以下の開発施設を見学、説明をうけました
ー製造設計グループ;5Dマシニング ・3Dプリンター


ークリーンルーム
ALMA望遠鏡のような超高感度な電波受信のためのSIS素子などを製造しています
ー開発された装置をつかった観測機器の紹介
ALMA望遠鏡、すばる望遠鏡による大規模観測プロジェクトHSC-SSP(Hyper Suprime-Cam Subaru Strategic Program)


HSCと
使用されている116個のCCD
(出展:国立天文台)
2023年からは産業連携活動を推進する「社会実装プログラム」が立ち上げられました。天文学に必須な非常に高精度な部品を作成する技術を産業に生かすことに取り組まれています。例えばSIS素子開発は量子コンピューター開発に応用されています。
ただし現実には高精度技術の適用分野の確保が課題となっている悩みもお聞きしました。
懇談会
① 天文情報センター副センター長の平松講師、波田野氏、との質疑応答の時間を設けていただきました。予定時間を20分ほどオーバーするほどの活発な質問がありました
② 国立天文台として小中学生たちへの天文学普及の活動を国内外で実施しており(海外の日本人学校含む)、DFの理科実験教室の活動にも興味を示されました。彼らの活動内容についてお伺いし、理科実験教室グループに共有しました。今後もコンタクトは維持致します
構内見学
① 懇談会がおしてしまい構内見学の時間が20分ほどしか取れなかったのが残念でした。ゆっくり歩けば1時間ほどの内容です。
② 構内には最新技術というより日本の天文学の歴史を示すような文化財的な施設が数多くありました。

(1921年完成 もっとも古い建物 登録有形文化財)

(1930年完成 登録有形文化財)

(1926年完成 登録有形文化財)
その他
見学終了後、国立天文台から深大寺まで移動して昼食を兼ねた懇親会を行いました。新緑の季節のため観光客で大変混んでいましたが、楽しく見学会を終了することができました。
三鷹キャンパスは「天文学」という理論・観測の最先端科学を担う国立天文台の中核ですが、「社会にどれだけ役に立つのか」というアピールに非常に努力されていることを感じました。
昨年技術部会ではJAXAの講演会、QSTの見学会、経産懇でもQSTの講演会を実施しましたが、日本の基礎科学技術開発への投資不足を感じざるを得ませんでした。
今回の見学でも天文学のための科学技術開発をいかに社会実装に結び付けようとしているか、を必死にアピールし予算を確保しようとしている教授たちの姿がありました。改めて日本の基礎科学開発の難しさを感じました。
一方で国立天文台が小中学生への天文学教育へ力を入れていることを知ることができたのは幸いでした。この面でのコンタクトも続けていこうと考えます。
以 上(市川良彦)