「中国車と世界を狙う内燃機関」
レポートと動画 山﨑雅史会員(804)

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山﨑雅史会員(804)より「中国車と世界を狙う内燃機関」のレポートと動画を頂きました。
かつて中国メーカーは内燃機関を製造できず、三菱自動車が多くを供給していたが、最近は世界一の高効率内燃機関など先進的なエンジンの開発生産を実現し、電動化と併せて中国車は高度化している、という事実を豊富なデーターと技術的な解説で紹介、自動車産業OBとして「強みとする日本の内燃機関技術を原点に立ち戻って真摯に再検証する必要がある」と、警鐘を鳴らす内容となっています。
以下、山崎会員の要約、レポートPDFと動画(YouTube)をご覧ください


1990年代から2010年代の前半にかけて、中国の自動車メーカーは自社ブランドの車体は開発できても主役となるエンジンを自ら開発する技術はありませんでした。その弱点を埋め中国の自動車メーカーにエンジンを供給したのが日本の三菱自動車でした。三菱自動車は1990年後半に中国企業との合弁で2つのエンジン製造会社を設立し、安価で信頼性の高い三菱のガソリンエンジンを中国の自動車メーカーに供給しました。当時、三菱のガソリンエンジンの供給を受けた主な自動車メーカーとしては長城汽車、吉利汽車、奇瑞汽車、そしてBYDが挙げられます。

その中国の自動車メーカーは徐々に技術力をつけ、独自のエンジンを開発・製造するようになりました。そして今、中国の自動車メーカーは電動化技術とエンジン技術を融合した新たなステージに至り、電動化だけでなく内燃機関でも世界を狙う状況にまでなってきています。中国自動車メーカーの内燃機関技術の進歩は、定回転数・定負荷の限定した運転領域で熱効率が45%を超える機関を続々と開発し、メーカー間の激しい熱効率競争を展開しています。

奇瑞汽車はオーストリアのエンジンコンサルタント会社AVLの協力のもとで鯤鵬天�(こんぼうてんけい)エンジンを開発しました。17.5という高い圧縮比に、特殊なリンク機構で26という異次元の膨張比を実現し世界最高とされる48.57%の熱効率を達成しています。吉利汽車は高性能エンジンと併せてAIを活用して道路状況や温度、湿度、標高、勾配をリアルタイムで検知し、最適なエネルギー配分を予測することで、エンジンの総合エネルギー効率を高めるアプローチを実用化しています。EVとPHVで世界の覇権を狙っているBYDは定回転数・定負荷の運転に不要な機能をエンジンからそぎ落とした極限の構造設計を行い、第5世代のPHVモードと組み合わせることでどんな状況下でもモーターが主役となる、従来のPHVと一線を画した独自のPHVの製品化を行っています。長安汽車はガソリンエンジンが誕生して以来の内燃機関の基本要素を、最先端の加工技術とシミュレーションで限界まで引き上げ、熱効率が45%を超えるNew Blue Coreエンジンを誕生させました。

このように内燃機関技術でも力をつけた中国の自動車メーカーは中国国内市場での激しいEVの販売競争から活路を海外に求める流れのなかで、EVだけでなく内燃機関においても世界の覇権を狙い始めており、彼らの照準の先には日系メーカーの牙城のストロングHV市場も入っています。独特のリンク機構、エンジンとAIの活用で総合エネルギー効率を上げるアプローチ、不要な機能をそぎ落とした極限設計のエンジンと革新的なPHVモードでのアプローチ等々、多様性に富んだ進化を遂げている中国の内燃機関と向き合うには彼らの最新技術の詳細を理解し、強みとする日本の内燃機関技術を原点に立ち戻って真摯に再検証する必要があると思います。

資料、動画は以下です。お手すきの折にでもご覧いただけると幸いです。

資料PDFは上記絵をクリック
動画Youtube(34分動画)は上記絵をクリック

2026.6.25 山崎 雅史


以 上(横山英樹)

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