8月26日(水)、DF渋沢栄一相国寺文献調査会が編纂した『渋沢栄一 最晩年の語り ―「論語と算盤」のその先へ』の出版記念講演会・懇談会を、東京商工会議所にて開催しました。



当日は、渋沢栄一翁にゆかりの深い方々をはじめ、本書の編纂・出版にご協力いただいた関係者など52名が参集。約100年前に語られた渋沢翁の「知」を現代によみがえらせ、次の世代へつないでいく本書の出版を、ともに祝う貴重な機会となりました。
冒頭、主催者を代表して織田文雄代表理事が挨拶。本書の出版にあたり、多大のご支援・ご協力をいただいた来賓の方々への感謝の辞を述べました。更に本書の出版は、2027年に創立25周年を迎えるDFが目指す「知の継承」を象徴する取り組みでもあり、約100年前の渋沢翁の言葉と思想を現代に受け継ぎ、さらに未来へ伝えていくこともDFの果たすべき役割の一つであるとの考えが示されました。



続いて、本書の解説を担当された國學院大學の杉山里枝教授が講演されました。杉山教授は渋沢研究の若手研究者として注目され、NHK大河ドラマ「青天を衝け」では、豊富な研究成果をもとに資料提供を担当されました。
講演では、同郷の渋沢翁を研究することになった経緯に触れた後、本書に収められた最晩年の語りから、特に注目すべき言葉や思想を取り上げ、生涯現役を貫いた渋沢翁の晩年の思想、無宗教とは違う「宗教観」、とりわけ「孝道」に対する考え方など、その今日的な意味について詳しく解説されました。

来賓挨拶では、東京商工会議所の三村明夫名誉会頭から、DFの社会貢献活動に対して、組織としての力に改めて感銘を受けたとのお言葉をいただきました。また、ご自身が東京商工会議所140周年の折に会頭を務めていたことにも触れながら、経済人として大きな足跡を残した渋沢翁が、自らの功績を語るのではなく、そこから得た教訓を人々に伝え続けたことの素晴らしさについて語られました。



また、渋沢研究の第一人者である渋沢史料館元館長の井上潤氏からは、長年にわたる研究を通じた渋沢翁への思いを語り、これからも「新しい渋沢栄一」を追求していくと言及されました。井上氏には、本書の帯にも「未来に生きる人々の琴線に触れる珠玉の言葉がよみがえる」との推薦の言葉を寄せていただいています。
本書誕生の原点となったのが、社会福祉法人衆善会(現・和敬学園)の機関誌『衆善』です。DF渋沢栄一相国寺文献調査会の近藤勝重会員から、近藤会員の親類にあたる相国寺塔頭慈雲院住職で和敬学園理事長の草場周啓氏より寄せられた、本書出版への謝辞が代読されました。
昼食を交えた懇談では、出席者の間で活発な交流が行われました。その後、一橋大学の中野聡学長から、渋沢翁が森有礼の後を継いで、現在の一橋大学につながる商法講習所の発展に尽力し、経済学・経営学を中心とする教育の礎を築いたことなどが紹介されました。



締めくくりには、深谷市の小島進市長が多忙な公務の合間を縫って駆けつけられました。深谷市にとって渋沢翁は郷土の大きな誇りであり、市内の随所にその功績や足跡が受け継がれていることを紹介。本書の表紙にも使われている「シブサワブルー」にちなみ、市内の歩道橋を国土交通省の許可を得て同色に塗装したというエピソードも披露され、和やかな雰囲気の中で会を締めくくられました。
今回の出版は、25周年記念事業の第1弾でもあります。
「知の価値を 次の世代へ 未来の社会へ」
先人が培ってきた知恵や経験を掘り起こし、その価値を現代に生かしながら、未来へと手渡していく・・・。
DFはこれからも、会員一人ひとりが培ってきた知識と経験を社会に還元するとともに、社会貢献と自己研鑽の活動をさらに推進してまいります。

以 上(小林慎一郎、宮武里美)