「何歳になっても活躍できる場の創出」を目指し、80歳を超える会員に呼びかけ、2021年に集う会を結成した。もちろん、趣旨に賛同する会員は年齢に関係なく参加することができる。それが OVER 80 研究会である。設立時は当時の組織100歳社会総合研究所の分科会として、その後地域デザイン総合研究所の分科会となり、そして2025年に独立した研究会となった。

創立から20年以上経過したDFでは、長い年月継続している会員が多く、80歳を超えた会員は100名を越える。これほど会員を惹きつけているのは素晴らしいことではあるが、高齢を理由に退会する者は跡を絶たず、何らかの対策が必要なことは目に見えていた。やはり、高齢会員が活躍できる場が少ないのである。
一方、年齢とは、単なる番号であって、考慮すべきではないという意見もある。年齢、性別に関係なく、老若男女が一堂に集うことこそ目指す方向ではないかという考えだ。それは素晴らしいことで否定するところは何もない。しかし、その年齢になってみないと分らないことが多いのも事実である。自分を振り返ってみても、70歳の時、10年後の80歳の私を想像することはできなかった。年齢に応じて同じ歴史を共有してきた仲間意識もある。そこで、80歳超の有志が相談し、次のような趣旨でスタートを切った。
「何歳になっても活躍できる場の創出を目指す有志の集まり」
活動開始に当たり会の名称を決めようということになり、有志間で公募を行い、「何歳になっても」を80歳超と線を引き、「OVER 80(オーバー はちまる)」と名付けた。参加していただくのは何歳でも歓迎である。

人生100歳時代、「何歳になっても活躍できる新たな場の創出」が必要だ。それを実現するため、DFという場を活用して、新たな場を「対象となる年齢の会員自らが創出することを促す活動」を試みることにした。人生100歳を睨んだ時、平均年齢73歳、100名を超える80歳以上の会員を有するDFの OVER 80 の会員有志が自ら「有益で楽しいと感じる新たな活躍できる場の創出」することを期待している。あくまで、有志自らが「新たな場」を考え、創出することが継続していく上で大切と考えている。
事前に行ったアンケート調査では、OVER 80 の皆さまは、偏りがない幅広い分野での活躍の場に興味と意欲を持たれ、とても意識が高いことを示している。
会が発足直後にコロナ禍になり、Zoomオンラインミーティングとなったが、毎回20名程が集まって、楽しく、熱い意見交換を行い、あっという間に2時間が経過するというミーティングが続いている。
当初の話題は、近況報告、最近感動した話など、楽しい情報交換からスタートしたが、現在は絞り込んだ2つのテーマでミーティングを実施している。
「教育分科会」と「安全保障問題分科会」である。
教育分科会
「教育分科会」は、「次の時代の人たちのために、我々の残った命をどう使うか」(U氏提案)を指針とし、議論して取り上げたのが、日本の小学校の教育改正案である。ここから「教育分科会」が発足した。動かすことは困難と思われる文科省に、一石を投じて動かすための方策として提言をまとめた。会員有志11名に加え、牧野篤先生をはじめとする専門家3名の意見を加えた冊子「幸せな小学生を増やすために 小学校教育への提言」(2024年3月)を上梓し、知る限りの教育関係者へ配付した。現在も著者が中心となって研修を続けている。
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安全保障問題分科会
「安全保障問題分科会」は、和田文男会員の旗振りでスタートし、「米中の間で日本はどう対処すべきか」「日本の財政」「食料自給率問題」など、直近の政治、世界情勢もテーマにして議論している。
以上が、設立の目的、経緯、現状の概略である。他の組織の企画に乗るのではなく、自然で自主的な活動の中から、さらに新たな活躍の場が醸成されてくるものと信じている。
和田文雄会員がまとめた「安全保障分科会の意見交換による勉強会の歩み」はこちら