第22回DF関西勉強会開催

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6月18日(火) 15:00より大阪中央電気倶楽部311号室で、会員の中村洋明氏に「航空機産業における脱炭素化の取り組み」について講演していただきました。同時に東京会員にはZOOMで参加してもらいました。講演の概要は以下の通りです。

脱炭素に対する主な争点は、人間の活動によるCO2の排出が温暖化の原因であり、異常気象の多くは温暖化に起因する。これに対する最も有効な対策は再生可能エネルギーの採用である。この前提そのものが争点になることもあるが、世界は、今、各国、各分野で脱炭素に向けた動きを加速している。その過程で、再生可能エネルギーは本当に経済的合理性があるのか、脱炭素の強力な推進は、特定の人たちや国を利しているのではないか等もまた、争点になってきています。例えば、G7は多額の支援金を投じて2050年までにCNを実現する目標に対し、日本よりCO2排出量の多い中国、ロシアが2060年、インドに至っては2070年までにCNを実現することになっています。また、分野別にみれば、運輸部門での排出量は圧倒的に自動車であり、航空機の排出量は極めて少ない数字です。それでも脱炭素化は航空機産業で非常に大きな流れになっており、さまざまな取り組みが行われております。機体とエンジンの高効率を目指し、電動化範囲の拡大や新しいエネルギー源(SAF、バッテリー、燃料電池、水素燃料等)実現のための研究開発と実現のためのインフラ整備、構築が続けられています。併せて運航側や空港インフラ面での改善努力も続けられていますが、脱炭素となるとやはり新エネルギー源の採用が重要でとりわけ、航続距離面でSAFへの期待が高いようです。

航空機産業に限らず、新技術の登場は、新たな市場を作り出します。しかし、量産と低コストを実現しない限り、経済的合理性を伴いません。技術の革新は期待できますが、いつまでも補助金に頼るようでは、国力を低下させることにもなりかねません。ましてや、航空機産業は全体的にはCO2の排出は非常に少なく、また、自動車と異なり、ガスタービンが主役であり続けます。特に脱炭素を考えるときは、他の産業分野も含めた全体のエネルギー問題を考える必要があるという結論に大いに共感させられました。

詳細は、講演動画と、講演資料を参考にしてください。

以 上(岡本正敏)

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