山崎雅史会員から自動車の電動化と中国BYDが抱えるリスクに関する考察のレポートを頂きました。
自動車の電動化で存在感のある中国BYDが抱えるリスク、そして日本のメーカーのチャンスについてデーターに基づく分析と考察を行った力作です。
以下に山﨑さんの紹介文とPDF資料、動画を掲載しますので、ぜひご覧ください。
山崎会員寄稿文
1時間に50mm程度の降雨には対応できるように都市設計されている日本の大都市に、100mmを超える激しい雨が降り道路を川にしてしまいます。小さな河川は立ちどころに水位が上がり氾濫しています。海面から放射される赤外線やマイクロ波を人工衛星がキャッチして推定する海水面の温度は、すでに平年から2〜3℃高い状態にあり、接近する台風に上陸直前までエネルギーを与え続けています。今年ほど気象変動を身をもって痛切に感じたことはありません。皆様、被害はありませんでしたでしょうか。
今回、2025年7月時点の米国、欧州、中国の自動車の電動化の状況を、データを元に解析してみました。米国では全米、カリフォルニア州ともにEVが頭打ちとなる一方、HVが増え続けています。欧州全体を一括りにするとHVが新車市場の3割を超えて依然メインプレーヤーであることに変わりはありませんが、HVの伸びに鈍化の兆しが出つつあり、まだ割合は低いですがEVとPHVが安定して伸び始めています。その背後には特にイギリス、ドイツ、イタリア、スペインで新エネルギー車の販売に力を入れているBYDの存在があります。中国では7月に新エネルギー車が新車販売の約49%と過去最高値となり、今まで勢いのあったPHVの伸びが鈍化しつつあります。新エネルギー車の販売を急拡大しているBYDからは、販売台数の拡大に異常なまで執着している印象を受けます。中国国内におけるBYDの製品、サービス、品質等に対する苦情は桁違いに多く、過剰在庫や隠れ債務問題とともにBYDは経営上の大きなリスクを抱えています。
中国の品質ネットワーク、車質網に入っているBYDの製品やサービスについての苦情の生の声も調べてみました。サンルーフやステアリング・車体からの異音、錆の問題、事故時にエアバッグやエアカーテンが開かなった、新車のエアコンが冷えない、高速走行中の突然の減速等々基本的な問題の多さに驚きます。
「革新的技術」を売りにしているBYDの車が、走る、曲がる、止まるの基本性能や品質という「レガシー技術」がお粗末であれば、自動車として最も大事な安全性、信頼性という基礎ができていないと言わざるを得ません。日本の自動車メーカーは長い年月をかけて磨いてきた「レガシー技術」の土台のうえに「革新的技術」を積み上げていく限り、新興勢と十分に渡り合えると感じました。(山﨑雅史)
レポートのPDFと、動画サイト(Youtube)
以 上(横山英樹)

