寺田弘会員(1117)文庫本を上梓しました。アマゾンは次のように評しています。
昭和13年、深川に生まれた少年は、昭和20年の東京大空襲を乗り越え、下町の気風を身に着け、育っていく。茶道に青春を燃やし、学生運動に参加した学生時代、メーカーでの奮闘、やがて出版業界に足を踏み入れたサラリーマン時代、そして退職前後に参加した「まちづくり活動」……折々の興味に全力で取り組んできた筆者が語る、爽快な回顧録。
今から10数年前に、孫の一人から小学校の夏休みの宿題に身内の者から戦争の話を聞いてまとめるべし、ということがあったのが発端だった。そういえば私にとっては昭和20年3月10日の体験はあまりにも苦しくつらいことだったので、以降自分の中に封印してきたものだった。
孫7人もいる身にとっては、それを語らずに生を終えることは許されることではないと深く反省し、戦争を語ると同時にわが人生を語ってみようと思い10年前に孫たちに書いたのがこの文章だった。

ぶちっやけた話、その折参考になったのが昨年92歳で生を終えた仲代達也氏の生きざまだった。氏は中学1年で終戦を迎え、以降堂々と「戦争だけは二度とやってはいけない」ということを語り続けていた。同時に俳優座から無名塾と長い間芝居をしてきたが「毎回出番の前はひどく緊張し、周囲に助けられてきた」ということを正直に最後まで語っていた。つまり全て物事は自分だけで成し遂げられず、周囲の人々のお陰で達成できるものだという感覚を持ち続けていたのだ。
その様に考えると、自分のやってきたことはどれ一つとっても周囲の人々の助けがあったればこそである。すると物事の奥行が広がり、本質が見えてきて自分をより謙虚に反省できることにも繋がっていく。
この本はすでに記したように10年前に書き、自費出版したことをすっかり忘れていたのを、出版社がどこから見つけ出したのか知らないが、「出せ、出せ」と責められてそれに屈したものだ。だから内容面では一切手を加えたりしていない。もっと社会的なことや政治的なものに触れたかったという悔いが残っているお粗末なものだ。だがそれも自分の実力だから仕方ない。恥ずかしい限りだ。
最後に2名の筆のたつ女性に聞き書きをしてもらい、「何故ですか」「どうしようとしたのですか」と鋭く質問され、物事に正直に向きあえたことが一番良かった、と今胸をなでおろしている。(寺田弘)
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Amazon.co.jp : 下町育ちの正義感
以 上(小林慎一郎)