1月16日(第453号)
鈴木 哲
今はAIの記事、話題が出ない日はありません。あっという間にAIが開発され、進化、普及し、さらに底知れない程の高額金額が投資され続けています。
写真画像との関りも大きく変化を遂げていて、既にChatGPTやCopilotなどの生成AIによって新規画像を作るあるいは既存画像から新たな画像を生成することも可能になっています。また、チャットボット、ジェミニなどのAIエージェント、AIアシスタントも開発が進んで機能が高度化されている現状です。

写真というと、これまではカメラで撮影してそのままあるいは写真ソフトでサイズ、色調や場合によっては画像の一部加除など手を加えてプリントするというのが一般的でした。現状でも写真ソフトを利用すればかなりの変化を加えることが出来ます。
また、カメラもフィルムカメラ、デジタル一眼レフカメラ、デジカメから近年機能レベルが相当高度化しているスマホカメラやミラーレスカメラまで種類はあるとしても被写体を撮影するというのは共通でした。

左のアナログ(フィルム)写真例は、四方満さん作「日の出の瞬間」です。フィルム撮影は、モニター画面で結果が即分かるデジタルとは異なり、現像、焼き付けが終わるまでどのように撮影できたか分かりません。写真屋で出来上がった印画紙を見て、その瞬間をきれいに撮影できたことが分かった瞬間の達成感は、何物にも代えがたい喜びです。
デジタル写真例は、神永剛さん作「富士山と月の連続写真」です。
富士山の裾野へ沈む月を、定点で一定時間ごとに撮影し、それを1枚の写真にまとめた幻想的な写真です。デジタル化により、様々な画像の加工ができるようになり、表現の幅が飛躍的に広がりました。

一方で、AIによる写真画像はこれまでの手法とは大きく異なり、自分で被写体を撮影することなく他人のあるいはAIの自立性、学習、意思決定などによって画像が出来上がってしまうということになります。
勿論、それはそれで見事な写真が出来上がり、自分で撮った写真よりはるかに出来栄えのよい作品になることはあるでしょう。そして、それで満足出来ればそれもいいかと思います。
要は、写真の作品を作る手法の多様化、楽しみ方の広がりが増えたということだと思います。


左の80才の実写の写真をAIに読み込ませ、この写真の男性の20才の時の写真を創って下さいと依頼すると、数秒で右の写真が形成されました。眼鏡がほぼ同じというのが気になりますが、豊かな黒髪、若い肌色、衣服は白色シャツ、背景は学校内に変えてあり、若かりし頃を彷彿とさせる画像に仕上がっています。驚くべき能力です。今後の進展が楽しみと共に脅威も感じます。
ただ、写真に限らずAIの負の側面については世界でも警鐘を鳴らされている通りで、ハルシネーション(誤認、嘘)、セキュリティ、倫理的・法的問題が的確に解決されることが求められます。場合によっては、本人が意図しなくても出来上がった作品が何らかの問題に抵触していると、思わぬトラブルに巻き込まれることにもなりますので、十分な注意が必要です。
写真の世界はこれまでカメラの機能、印刷技術、付帯設備などの開発、高度化、廉価化などが進められてきました。ところが、AIの登場により写真を取り巻く環境が劇的に変わり、 AIを利用することで誰もが素晴らしい写真を思うように作り出せる世界になっていくことは間違いないと感じます。

さはさりながら、カメラもフィルムカメラを愛し、デジカメの味わいを好み、全てカメラに任せて手を加えないファンも多数います。どちらがいいという訳ではなく、一つ言えることは、これまで写真にあまり関心のなかった人もAIの活用によって「写真画像」を作る楽しみが普及することで生活に彩りが追加されるものと思います
以上
すずき さとる(692)
(華写の会、海外旅行研究同好会、企業ガバナンス部会)
(元 損保ジャパン)