環境コラム第7号 喜籐憲一(768)
「山林経営で見えた林業の現実」

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10年ほど前に、親族の関係で思いがけなく山林保有者となりました。場所は秋田市郊外及び近郊の数か所、全く知識もなかったので県や森林組合そして関係者にも見聞きしました。 森林はCO2を抑える有力な手段として期待されてますが、その実態を体験から記します。

日本の国土の3分の2、うち5分の2が人工林、戦後の雇用対策も含め大規模に植林そして半世紀以上経過し、伐採期に入ってます。しかし樹齢の構成を見ると日本の人口構成よりももっと極端に樹齢60年前後に集中してます。住宅着工件数の低下と木材をあまり使わなくなった建築、そして輸入材の増加により木材価格は大幅に低下しました。森林組合にお願いし一か所の間伐計画を立ててもらいました。そして実行に移ったのが5~6年後。立派なスギが立っているのですが、急峻なところでまた林道も遠く、機材が入り込む作業道を切り開くのに困難を極めました。

作業道を切り開く様子
急峻な斜面で間伐完了

16haの間伐を行うのに半年くらい要しましたが、そこで林業の課題を感じました。 一つの山林といっても所有者は沢山おり、その所有者のところを通らないと作業できません。所有者は、名義も変えてなくまた生存あるいは近隣に住んでいるとは限りません。その持ち主を探し了解を取る。そして作業道を切り開いていく。今はハーベスタという大型機械が入り樹木の近くまで行くとバッサバッサ切っていきます。その生産性は高いのですが、作業道を広く取らないと大型機械が入れず岩を削り取って作業道を作っていきました。そのあとは所定の場所に集荷して、木材の用途に応じて運び出して一連の作業が終わりです。

しかしその収支は木材の販売代金で約1,000万円、伐採費用と作業道の開設費などで約2,000万円、そして補助金で約1,100万円で手元には100万円程度入りました。ここで分かったのは補助金なしではできない事業であること、逆に言えば補助金が事業を決めていることになります。一方皆伐といって山の木をすべて切ってしまう方法もあります。これだと補助金が出ない(その代わり作業道の経費など掛からない)しかし丸裸になった山に、再造林をするとなると1haあたり5年間で300万円位かかると言われてます。そして再造林には補助金が70~80%出ますが、日本の再造林率は30%程度です。50年以上を要してこの収入では業として成り立たないと思いました。国も森林贈与税とか、森林認証制度などを設定し対策に務めてますが、もっと抜本的なことをする必要があるかなと思ってます。 
残った山林を今後どうするか思案中です。

以 上(喜籐憲一)

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