英国リバプール近郊のセメント工場、ごみ焼却発電所、ブルー水素製造プラント等で発生するCO2を回収し、沖合29㎞に位置する枯渇ガス田に貯留するリバプール湾CCS事業が動き始めた。2028年に稼働開始予定で、貯留量は450万トン/年。2030年代に1千万トン/年へ増強する。CO2の輸送・貯留はイタリアの石油会社Eniが担い、枯渇ガス田の既存設備を活用して、開発コストの低減を図る。2018年、英国北西部の工業地帯の企業が中心となり、地元で水素を製造し、地元でCCSを行って脱炭素を進めるプロジェクト「Hynet North West」が始まった。リバプール湾CCSはこのプロジェクトの一環である。英国は2030年代に世界有数のCCS産業を構築するという国家戦略を立て、220億ポンド(約4兆円)の長期支援枠を確保している。

“Global Status of CCS 2025” (Global CCS Institute)によると、現在、世界で稼働中の商業規模のCCSは77あり、合計貯留量は64百万トン/年である。建設中のCCSは47(合計貯油量は44百万トン/年)あり、近いうちに世界のCCS合計貯留量は100百万トン/年に達する見込みである。2013年の世界のCCS合計貯留量は約25百万トン/年で、その後の成長は緩慢であったが、2023年以降、増加傾向に転じている。CCSが脱炭素社会実現の一手法として、政策支援が強化されてきたためである。しかし、CCSはコスト高である。事業者は掘削・貯留・モニタリング等に係る研究開発を進め、CCS開発コストの低減に向けて不断の努力が必要である。

以 上 (中西聡 900)