「光触媒ミュージアム」見学・研修会
人工光合成プロジェクト

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日 程2025年9月25日(木)
見学・研修光触媒ミュージアム
(KISTEC : 神奈川県立産業技術総合研究所 溝ノ口 KSP内)
参 加10名

環境省は、今年、人工光合成の早期社会実装に向けての検討会を立ち上げ、7月にそのロードマップを作成した。その中枢の要素技術が光触媒である。
ディレクトフォースと交流を進めているNPOブルーアースが、この見学研修会を主催し、ディレクトフォース環境部会から3名が参加した。 

溝ノ口のKSP(かながわサイエンスパーク)内にある光触媒ミュージアム(藤嶋昭館長)の展示を見学した。
KISTECの研究員から、光触媒の酸化分解力や超浸水性の説明をうけ、興味深い実験を見学した。
(*) 光触媒ミュージアム : https://www.kistec.jp/aboutus/h_museum/

KISTECの研究所は、海老名が本部だが、溝ノ口に支所がある。溝ノ口支所の光触媒に関連する測定に関する施設を見学した。特に、抗菌、抗ウイルス評価に関しては、多くの実績を持っている。
(*) KISTECの抗菌・抗ウイルス性能評価:https://www.kistec.jp/r_and_d/eval_techserv/antibact/

参加者から事前の質問を受け、KISTECから事前回答も受け取っていたので、その内容も含めてさらに深い質問や議論がなされ、充実した研修会となった。

【光触媒に関して】

Q光触媒の市場は?
A光触媒市場規模は2024年に27億米ドルと推定され、2029年までに42億9,000万米ドルに達すると予測されています。
Q汚れなどの分解効率はどれくらいでしょうか?
A汚染物質の濃度変化から速度定数を算出し、分解効率を比較考察しています。
葉緑体と酸化チタンによる酸素(水素)の発生効率についても、同様に、条件によって異なります。加えて、量子収率やSTH効率など、多岐にわたる指標が存在し、どの条件・指標で比較するかによって、結論が変わってしまいます。

 【人工光合成の社会実装に関して】

Qロードマップの中で、2035年に光触媒・光電極による水素製造を社会実装し、2040年に光触媒、電極由来の水素とCO等を活用した最終製品製造を実現するとありますが、この可能性は如何でしょうか?
A環境省のロードマップで示されたスケジュールは、挑戦的ながらも実現可能性がある目標と考えています。2035年の光触媒による水素製造については、光触媒型では現状の1%を10%に、電極型では10%(水素)を25%(水素)に変換効率を高めることが前提となっており、現在の研究進捗を見ると段階的な達成は期待できます。ただし、浅尾環境相も「付加価値が高い最終製品であれば比較的早く、社会に出て行くだろう。コストを下げる技術面のブレークスルーも必要だ」とおっしゃっているように、技術的課題とともに経済性の確保が重要な鍵となります。この点については、ロードマップにも「コスト低減に資する技術開発」が盛り込まれてあります。
Q人工光合成の社会実装を牽引すると思われる日本企業とその企業の得意分野を教えていただけませんか?
A・三菱ケミカル、TOTO、富士フイルム(東京大学と共同)100m2規模でソーラー水素を製造する実証試験。
・豊田中央研究所様:2021年に1m角セルで変換効率10.5%を達成、実用サイズ化技術
・人工光合成化学プロセス技術研究組合 (ARPChem)の幹事企業
 https://www.mcgc.com/kaiteki_solution_center/oursolution/01.html
・民間および政府主導プロジェクト参加企業情報 (人工光合成の技術動向)
 https://www.env.go.jp/content/000339315.pdf

(追記)
浅尾環境大臣には「人工光合成の社会実装」が20年来の夢でありライフワークにしたいという熱い思いがある。 NPOブルーアースの拠点が、浅尾大臣の地元であることから、6月の人工光合成懇談会(https://directforce.net/2025/06/16/14897/ )につながり、今回もNPOブルーアースやディレクトフォース環境部会の活動へ期待するメッセージを受け取っている。

なお、光触媒ミュージアムの藤嶋昭館長は、光触媒反応の「本多-藤嶋効果」を発見した研究者でノーベル賞候補にも上がっています。また、DF理科実験グループやNPOブルーアース(福島でのおもしろ理科教室)への助成金を提供していただいている東京応化科学技術振興財団の理事長でもあります。

以上(三竿郁夫)

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