2024年、CCS事業法が制定され、首都圏CCS、苫小牧CCSを含む国内5か所のCCS事業と、国外4か所のCCS事業が先進的CCSプロジェクトとして選定された。国外事業は国内で回収したCO2を船で運び、マレーシア、オーストラリア沖等の枯渇油ガス田に貯留する。これら9プロジェクトには、石油精製、鉄鋼、電力、化学、紙、パルプ、セメント等の企業が参加しており、国は2030年までにCO2の年間貯留量6百~12百万トンを確保したいとしている。

CCSはコスト高であり、コストを如何に削減するかが事業の成否を左右する。苫小牧CCSの貯留コスト(100万トン/年ケース)は実証試験結果に基づき、約6000円/トンCO2と試算されている。今年から本格化する排出権取引制度の初期価格は3000~5000円/トンCO2と予想されており、苫小牧CCSが稼働する2030年に6000円/トンを越えているかどうかは予測不能である。
関東平野南部には上総層群と呼ばれる地層が広く分布する。層厚は1500~2000mで、東京湾では海底下にあるが、房総半島では地表に露出する。この上総層群の地層水には天然ガスが溶解し、南関東ガス田になっている。このことは東京湾下の上総層群にCO2を貯留できる可能性があることを意味する。2008年、このアイデアを検証するため、地層モデルを作成してCO2貯留シミュレーション・スタディが大成建設によって行われた。圧入井は東京湾内に10坑を設定、圧入量は100万トン/坑/年。CCS数値シミュレーションは、現在、より複雑な断層や地層の不均質性を扱えるように進化している。傾斜井で東京湾の地下にCO2を貯留できれば大幅なコスト削減になる。このような日がくることを夢想して今年の正月を過ごした。

以 上(中西聡 900)