環境コラム17号
首都圏CCSと苫小牧CCS

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京葉工業地帯の工場の排ガスからCO2を回収し、房総半島を横断するパイプラインで外房まで輸送し、沖合の地下の帯水層に貯留する首都圏CCS (Carbon dioxide Capture and Storage) 事業の予備検討が進行している。CO2の回収は日本製鉄、輸送・貯留はINPEXと関東天然ガス(株)が担当。CO2の貯留量は2030年に120万トン/年、2030年代半ばに5百万トン/年を計画している。パイプラインの長さは約80㎞。2026年末に諸設備の基本設計を終え、最終投資判断がなされる予定である。

CCSは火力発電所、製油所、化学工場などから排出されるCO2を回収し、坑井を掘削して地下深くの地層に圧入し、貯留する技術だ。CCS事業の検討に当たっては、① 地層の貯留容量(CO2量を貯留する十分な孔隙スペースが地層にあること)、② 地層の圧入性(CO2の圧入時、異常な圧力上昇を起こさない圧入性が地層にあること)、③ 封じ込め能力(CO2貯留層の上部に位置する泥岩等の不浸透性地層が長期に亘って封じ込め能力を有すること)の評価が重要である。

苫小牧でも同様のCCS事業の検討が進行している。CO2の回収は出光興産と北海道電力、輸送・貯留は石油資源開発(株)が担当。CO2の貯留量は2030年に150~200万トン/年を計画している。苫小牧では既にCCSの実証試験が行われ、2016~2019年に製油所から回収した30万トンのCO2を沖合の地下約1000mの帯水層と地下2400m以深の帯水層に圧入した。そして、CO2の挙動モニタリングによって、CO2は想定通り貯留層に留まっていることが確認されている。本CCS事業は貯留層に関する上記3つの不確定要素がクリアされており、首都圏CCSより検討段階が進んでいる。

以 上(中西 聡)

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